先日の「セレモニージャパン2021」で
最も心に残ったブースは、
日本では、そしておそらく世界でもほとんど例のない
遺骨を使った絵画「供養絵画さくら」だった。
30年ちょっとの短い人生を終えた女性。
生後1か月で逝った子猫。
海辺を散歩するのが好きだった犬。
そして最期に桜を観たいと呟いた女の子。
彼女らの命の記憶をこの世にとどめるために、
「供養絵画さくら」のアーティスト小林吉春氏は
画材に遺骨を用いたのである。
仕事で主にアニメーション作品の
立体造形物制作に携わってきた小林氏は、
自分が作ったものがイベント終了後には
ゴミとして破棄されてしまうことに
心のわだかまりを抑えられなかった。
それで給料をもらって生活しているのだから、
よしとしなければいけないのだが、
消耗品を作っている。
消費されるものを作っている。
という思いからアーティストは逃れられないのだ。
彼は「消費されないモノづくり」を模索するようになった。
そして2
遺骨、そして幼くして亡くなった姉の遺骨を目にした。
何かが彼の胸に舞い降りた。
遺骨を使った供養絵画はそこから始まった。
インスタグラムに上げたところ反響があり、
この5年間で約30点を制作した。
遺族や飼い主からヒアリングをし、
イメージする色や風景、
ストーリーを1枚の絵にしていく。
料金は応相談だが、基本的に大きさに比例し、
小さなものは額縁込みで5万円から。
人の遺骨を画材にするのは前例がなく、
禁止する法律はないが、万一のトラブルを避けるため、
依頼を受ける際に合意書を書いてもらているという。
ちなみに日本は遺骨の処理に関して、
おそらく世界一厳しい国ではないかと思う。
他の国では遺骨はメモリアルではあるが、
ただの物質としみなすのに対し、
日本では古くから霊魂が宿ると考えられ、
意味や価値を持っているからだろう。
絵画にするのは美しい・素晴らしいと思う人がいる一方で、
怖いと思ったり、眉を顰める日tもいるだろう。
新しいものはいつの時代も賛否両論である。
いずれにしても遺族の心に寄り添った
新しい供養の在り方として、
また、ひとりのアーティストの
ユニークなプロジェクトとして気にかかる。
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