週末の懐メロ24:悲しき鉄道員/ショッキング・ブルー

 

僕の脳内ジュークボックスの中で

すっかり廃盤になっていたショッキング・ブルー。

今年になってからたまたまYouTubeさんにご紹介いただいて

半世紀ぶりに聴いてみたら、まさしくショッキング。

すっかりイカれてしまった。

なんじゃ、この新鮮さ、このカッコよさは!

 

なにせまだ小学生だったので、

ラジオでなのか、テレビでなのか、

街中のどこかのお店でなのか、

どこで耳にしたのか、さっぱり憶えていない。

 

1969年「ヴィーナス」、1970年「悲しき鉄道員」と

大ヒットを連発したので、

けっこうよく聴いていたはずではある。

 

けれども中学生になってロック好きになってからは

「昔流行ったポップスグループ」として、

すでに過去の存在になっていた。

 

なんかその頃も耳にしたことがあったかも知れないけど、

古臭くて全然興味がわかなかった。

しかし、50年の歳月がそんなイメージをひっくり返した。

 

オランダのバンドで、

ヴォーカルのマリスカ・ヴェレスは

ジプシーの血をひく60年代型エキゾチック美人。

ーーということも初めて知った。

こんなちゃんとしたプロモビデオが残っているのも驚きだ。

 

世界的な大ヒットになったのは「ヴィーナス」の方だが、

僕はちょっとメランコリックなメロディーラインと

「No No No」という印象的なフレーズがリフレインされる

この曲の方がお気に入りだ。

 

「悲しき鉄道員」という邦題も

文学感、レトロ感が漂ってかえって新鮮で魅力的。

 

運転士なのか、機関士なのか、車掌なのか、駅員なのか、

はたまた開発者なのかーー

世界各地で特急列車が次々と開通し、

鉄道という産業・交通機関が花形だった時代には

「鉄道員」が一つの職業世界を表していた。

 

そういえば浅田次郎の小説を、

高倉健さん主演で映画化した「鉄道員(ぽっぽや)」

という20世紀の鎮魂歌のような名作もあった。

 

この歌のように、女よりも新列車の開発に夢中だった

レイルロードマンも大勢いたに違いない。

いまや絶滅寸前の「男のロマン」という言葉が通用した

最後の時代の名曲ともいえそうだ。

 

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ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、音楽エッセイ集。ブログより33編を厳選・リライト。

もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について ほか

 

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