シェー!と麻丘めぐみと昭和歌舞伎

 

もしかしたら「昭和96年の思い出ピクニック」の表紙を見て、

今、60代半の人たちは、

子ども時代の自分を発見するかもしれない。

僕はそうだ。

 

「わたしの彼は左きき」の麻丘めぐみさんは、

僕より5歳くらい上だが、

子どもの頃、いちばん好きだったアイドルである。

 

デビュー当時から好きで、何枚かシングル盤を買った後、

正月のお年玉をはたいて

「さわやか」というタイトルのLPも買って聴いていた。

冒頭の「こんにちは、麻丘めぐみです」という

ごあいさつに始まり、曲の合間にいくつか

ナレーションが入っていたような覚えがある。

 

彼女のファンになった一因が

当時のアイドル雑誌「明星」か「平凡」に掲載されていた

彼女が小学生の時の写真である。

 

イヤミの真似をして「シェー!」をやっていて

それがめちゃくちゃかわいかったのだ。

 

コラムニストの泉麻人も

「シェー!の時代」という本を出していて

「おそ松くん」が読まれていた昭和30年代後半から

40年代のことを論考している。

 

最近はYモバイルのコマーシャルで片岡愛之助イヤミが

「シェー!」をやっていて、これも大好きだ。

 

「シェー!」は昭和のドタバタ感・カオス感を象徴する、

強烈なアイコンなのである。

 

かつて体験し、卒業したすごいカオスを、

あれは何だったのだろう? 

と、親も子も孫も、みんな総出で

整理整頓して秩序立てて理解しようとする――

そんな時代になっている。

それをしなくてはもう先へ進めない。

 

それにしても、イヤミは「シェー!」のポーズとともに、

デッパがトレードマークだったのに、

愛之助イヤミはなぜデッパじゃないのか?

 

メイクするにしても画像処理するにしても、

それくらいはできるはずなのに・・・。

 

いくら昔のキャラクターとはいえ、

現代に再現するにおいて、

身体の特徴をあげつらうのは差別につながる、

ということなのだろうか?

 

愛之助さんには一度、

「おそ松くん」や「バカボン」を題材にして、

SHOWA歌舞伎をやってほしい。

 

エッセイ集「昭和96年の思い出ピクニック」/おりべまこと

 3月29日(月)17:00~

31日(水)16:59

2日間限定無料キャンペーン

開催中

 

アイドル、マンガ、オカルト、オリンピック、新聞配達、家族、そして戦争――昭和には愛すべきもの、憎むべきもののすべてがあった。

2021年=令和3年=昭和96年になった今でも、

僕たちは昭和の物語から離れられない。

海を埋めたて、山を切り開き、明日へ向かって進んだ果てに

見つけたものは何だったのか?

みんなが愛して憎んで生きた時代を1960(昭和35)年生まれの著者が探検する面白まじめエッセイ集。

ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から30篇を厳選・リライト。

 

もくじ

・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会

・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?

・昭和オカルト大百科

・新聞少年絶滅?物語

・死者との対話:父の昭和物語

・社会全体の児童虐待と「晴れた空」

・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?

・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー

・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年

・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代   ほか

 

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