「親が死んでも食休み」というが、
確かに僕は父が死んだときでも
別に食欲が落ちることなくパクパク食べていた。
母が死んでもたぶん同じだろう。
どんなに悲しんだり、落ち込んだり、
深刻に悩んだり、もう死にたいと思っていても、
人は腹が減ればめしを食う。
食っているとき、
人の「生きる」という意欲はモリモリ表に出る。
そしてガツガツしたエゴがむき出しになる。
何だかひどく罪深い気持ちになる。
悲しんだり、悩んだり、絶望したりしているつもりでも、
結局それはフリだけだ。
本当のおまえは他の生命を奪ってまで
意地汚く食って、
みっともなく生き延びたいだけなんだ、
と別の自分に嗤われているような気になる。
たまにそんなことを考えつつ、
明日も生きるぞ、さあ何を食おう?と考える。
わが家では最近、いろいろ混ぜて飯を炊く。
今使ってるのは熊本県産発芽玄米使用の十一雑穀米。
くまモンが付いているせいか、
義母はお菓子だと思ってて、
時々こっそり開けて中身を見て
がっかりしているようだ。
でも認知症には、お好きな銀シャリよりも
こちらのほうがいいそうなんですよ。
おりべまこと電子書籍
ロンドンのハムカツ
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「食」こそ、すべての文化のみなもと。
その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、日々の生活も深遠な思想・哲学も、
すべてがスープのように溶け込んでいる。
「食べる」を学び、遊び、モグモグ語る面白エッセイ集。ブログから33編を厳選・リライト。
もくじ
・お米と田んぼとお母ちゃんのニッポン!
・お米を研ぐ理由と人間の味と匂いの話
・永遠の現物支給 : 2018年3月15日
・フツーのおにぎりでも日本のコメなら800円!?
・ロンドンのハムカツ
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