週末の懐メロ22:夢見るシャンソン人形/フランスギャル

 

僕が小中学生の頃、人気があった

フランス人アイドル歌手のダニエル・ビダル、

あるいはシルヴィ・バルタンの歌だと思い込んでいたが、

実際はフランス・ギャルという、

なんともベタな名前の人が歌い手だった。

彼女もフランス発のアイドルとして名を馳せていたらしいが、

僕はまったく知らなかった。

 

「夢見るシャンソン人形」は、

ビートルズの全盛期だった1965年に発表。

フランスの音楽家セルジュ・ゲンズブールが作詞・作曲し、

当時まだ17歳だったフランス・ギャルが歌って

世界的な大ヒットとなった。

彼女はドイツ語・スペイン語・イタリア語、そして日本語と、

マルチリンガルでこの曲を歌って各国で人気を博したという。

 

日本ではオリジナルがヒットするや否や、

中尾ミエ、弘田三枝子、越路吹雪、中山千夏など、

多数の往年のスター歌手がカバー。

 

さらにその後、70年代になると、南沙織、麻丘めぐみ、

小林麻美、浅田美代子などのアイドル歌手たちが、

アルバムを出す際にみんな揃ってこの曲を取り上げ、

歌って入れていた。

アイドル=お人形というイメージが繋がるのだろうか。

 

原題は「(中身のない)蝋人形、おがくず人形」という意味で、

少女の視点で

「今は恋を知らずに人形みたいに恋の歌なんて歌ってるけど、

いつかはこの歌みたいに本当の恋をする」といった内容の歌詞。

その歌詞通りにしたのかどうかは分からないが、

本家のフランス・ギャルは、ブームが去り、

大人になった後は、

二度とステージでこのヒット曲を歌わなかったという。

 

ちなみに八〇年代以降になると、

アイドル=お人形というイメージを揶揄する形で、

ジューシー・フルーツが「夢見る“シェルター”人形」

という替え歌を歌ったり、

明和電機が歌詞の部分を人工声帯ロボットに歌わせたり、

また、ヴォーカロイド・初音ミクのレパートリーになったりして、機械文明・デジタルカルチャーに対する愛情や親しみ、

また反対に皮肉や風刺をこめやすい歌として、

いろいろいじり回されている。