僕が小中学生の頃、人気があった
フランス人アイドル歌手のダニエル・ビダル、
あるいはシルヴィ・バルタンの歌だと思い込んでいたが、
実際はフランス・ギャルという、
なんともベタな名前の人が歌い手だった。
彼女もフランス発のアイドルとして名を馳せていたらしいが、
僕はまったく知らなかった。
「夢見るシャンソン人形」は、
ビートルズの全盛期だった1965年に発表。
フランスの音楽家セルジュ・ゲンズブールが作詞・作曲し、
当時まだ17歳だったフランス・ギャルが歌って
世界的な大ヒットとなった。
彼女はドイツ語・スペイン語・イタリア語、そして日本語と、
マルチリンガルでこの曲を歌って各国で人気を博したという。
日本ではオリジナルがヒットするや否や、
中尾ミエ、弘田三枝子、越路吹雪、中山千夏など、
多数の往年のスター歌手がカバー。
さらにその後、70年代になると、南沙織、麻丘めぐみ、
小林麻美、浅田美代子などのアイドル歌手たちが、
アルバムを出す際にみんな揃ってこの曲を取り上げ、
歌って入れていた。
アイドル=お人形というイメージが繋がるのだろうか。
原題は「(中身のない)蝋人形、おがくず人形」という意味で、
少女の視点で
「今は恋を知らずに人形みたいに恋の歌なんて歌ってるけど、
いつかはこの歌みたいに本当の恋をする」といった内容の歌詞。
その歌詞通りにしたのかどうかは分からないが、
本家のフランス・ギャルは、ブームが去り、
大人になった後は、
二度とステージでこのヒット曲を歌わなかったという。
ちなみに八〇年代以降になると、
アイドル=お人形というイメージを揶揄する形で、
ジューシー・フルーツが「夢見る“シェルター”人形」
という替え歌を歌ったり、
明和電機が歌詞の部分を人工声帯ロボットに歌わせたり、
また、ヴォーカロイド・初音ミクのレパートリーになったりして、機械文明・デジタルカルチャーに対する愛情や親しみ、
また反対に皮肉や風刺をこめやすい歌として、
いろいろいじり回されている。
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