どうやら弱みを握られたようだ。
「椎名町の家にカエル」
「家族が迎えに来てるからカエル」
「すごそこに兄貴がいるからカエル」
そうやってケロッピーなセリフを放つと、
僕やカミさんが慌てて対応してくれることを
義母は学習してしまったようである。
認知症患者、侮るなかれ。
こうした「かえるコール」が出るのは、
たいてい「飯まだか」「おやつが食べたい」
「散歩に行きたい(退屈だから外出したい)」
のいずれかである。
要するに自分の要求を訴えたいとき、
「かえるコール」を発射することが
最も有効な手段なのだ。
仕事でテンパっているときに
これをやられると、プシューっと脳みそが沸騰するが、
やむを得ずニコニコ仮面を被って要求に応じる。
これ以上エスカレートしないことを念じるばかりだ。
さらに最近、ときどき朝起き出してくると、
「あれ、男の子たちは今日いないの?」
といった、ボケゼリフが飛び出す。
最初は幼い頃のきょうだいとか、息子のことを言ってるのかな、
だけど兄しかいないし、娘しかいないし、
「男の子」には縁がないはず。
幼なじみがいたのかな・・・と、カミさんと話していたが、
どうもそれはデイサービスのスタッフのことを
言っているらしい、ということに思い至った。
最近はデイサービスで若い男のスタッフが
けっこうチヤホヤしてくれていて、
お姫さま気分を味わっているようだ。
少なくとも本人にとって、
認知症になったのが悲劇であるとは限らない。
もしかしたら、今こそがお姫でいられる
わが世の春なのかもしれない。
逆に幼い頃、お城みたいなところに住んでていて
召使に傅かれていたけど
わたしは不幸だった、と語る人もいた。
諸行無常。万物流転。
今がいいから、またはダメだからと言って
人生の幸不幸をそう単純に決めてはいけない。
おりべまことの エッセイ集
amazonKindleより発売中
●昭和69年の思い出ピクニック ¥318
アイドル、家族、戦争・・・あの時代を面白まじめに考察する昭和エッセイ集。
●神ってるナマケモノ ¥321
動物の神秘と面白さ、人間との関係性を探究する動物エッセイ種。
●子ども時間の深呼吸 ¥324
誰の心の中にもいる「子ども」に焦点を当てた子どもエッセイ種。
●アクセス
https://www.amazon.co.jp/ から
「おりべまこと」、または書籍名を入れてアクセス。
●スマホやタブレットで読める:Kindle無料アプリ
https://www.amazon.co.jp/gp/digital/fiona/kcp-landing-page
●Kindle unlimited 1ヶ月¥980で読み放題
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/hz/subscribe/ku?shoppingPortalEnabled=true&shoppingPortalEnabled=true
コメントをお書きください