僕にとってクイーンの最高傑作アルバムは間違いなく
1973年リリースの「クイーンⅡ」である。
「マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン」は
その劇的な構成美のクライマックスを飾る
クイーン・オブ・クイーンズとでも呼びたくなる曲だ。
デビューアルバムは大半が前身のバンド・
スマイル時代にやっていた曲か、
それを焼き直したものだったので、
「Ⅱ」が本格的なクイーンのスタート、
そして、フレディ・マーキュリーの才能が
爆発した作品でもある。
このアルバムは光と闇の世界の対比を描いた
コンセプトアルバムになっており、
アナログ盤ではA面がホワイトサイド、
B面がブラックサイドになっている。
英国のダークファンタジーに素材を取ったブラックサイドでは、
悪鬼や妖精が跳梁跋扈する曲がメドレーでつながっている。
4曲目に登場する「マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン」は
その世界観を集約した最高の聞かせどころだ。
スリリングな曲展開とドラマチックな構成は、
当初、ツェッペリンのパクリだの、
イエスの物まねなどと、
イギリスの音楽評論家にけなされていたが、
日本のファン(評論家ではない)は、
この頃からすでにクイーンの音楽を高く評価していた。
おそらく今でも日本では、世界的なバンドになった後期よりも
この時代の“ブリティッシュ・クイーン”のほうが
人気が高いのでがないかと思う。
2018年の映画「ボヘミアン・ラプソディ」では開始早々、
フレディ・マーキュリーが
ブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンド
「スマイル」に出逢い、
脱退したヴォーカリストに替わってメンバーになる。
その後、バンド名を「クイーン」にして
ライブハウスに登場するのだが、
そこで「炎のロックンロール」を勝手に歌詞を替えて
歌ってしまうシーンが最高に面白かった。
そのシーン、その歌詞は、映画のテーマでもある
彼の生き方・不安定なアイデンティティの問題にも
関わっている。
映画自体は人間の掘り下げが非常に甘く、
むかし音楽雑誌で読んだクイーンのエピソードを
つぎはぎしただけのストーリーで
まったくの期待外れだった。
ただ、マーキュリーが抱えていた問題は伝わった。
イギリスという国でマイノリティとして生きる
自分とはいったい何者なのか?
このブラッククイーンにはマーキュリー自身が投影されている。
彼は自分が何者なのかを知るために、
英国の闇の女王・ブラッククイーンとなって
自分の心の中にある闇の部分を
洗いざらい表出しようとしたのだ。
楽曲の美しさ・カッコよさもさることながら、
そうした視点から聴いても面白いのではないかと思う。
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