「行くぜ、小田急で」
「え、オバQ?」
「ちゃうねん。小田急線で小田原まで」
「まあ、わたし、ロマンスカーで箱根まで行きたいわ」
20世紀レトロ感の漂うプロレタリアート風の男と女を描いた
巨大壁画レリーフ。
洋画家の宮永岳彦さん(1919~1987)の原画を
基に構成されたという。
この画家は小田急の特急ロマンスカー・SE(3000形)のカラーデザイン、
バーミリオンオレンジに白とグレーの塗装を考案した人でもある。
ロマンスカーの登場は1957年=昭和32年4月のこと。
それから62年後の一昨年3月末、小田急線の複々線化完成を記念して
下北沢の小田急線・井の頭線連絡通路に作られた。
久しぶりのリアル取材で小田原へ行ったのだが、
乗り換えで下北沢を利用したので
2年たって初めて気が付いたというわけ。
タイトルは「出会いそして旅立ち」。
作業着っぽい服を着た男と、スカーフを被った女の姿は、
何となく1957年=昭和32年当時の映画に出てくる、
ヒーロー・ヒロインを連想させるから?
戦後の復興の時代は
こういう若者たちが労働現場で日本を支えていたのだ。
ちょっとソ連とか、社会主義国っぽい?
「ロマンスカーは小田原には停まらないぜ」
「それに特急料金も払えないんでしょ」
「じゃあ小田原に行ったら名物・焼き蒲鉾を買ってやる」
「いや、わたし、箱根の温泉まんじゅうが食べたいの」
小田原にも箱根の温泉まんじゅうは売ってます。
はい、おみやげ。
昭和96年の思い出ピクニック」/おりべまこと
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アイドル、マンガ、オカルト、オリンピック、新聞配達、家族、そして戦争――
昭和には愛すべきもの、憎むべきもののすべてがあった。
2021年=令和3年=昭和96年になった今でも、僕たちは昭和の物語から離れられない。
海を埋めたて、山を切り開き、明日へ向かって進んだ果てに見つけたものは何だったのか?
みんなが愛して憎んで生きた時代を1960(昭和35)年生まれの著者が探検する面白まじめエッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から30篇を厳選・リライト。
もくじ
・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会
・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?
・昭和オカルト大百科
・新聞少年絶滅?物語
・死者との対話:父の昭和物語
・社会全体の児童虐待と「晴れた空」
・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?
・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー
・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年
・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代 ほか
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