♪夕日が沈むよ ポコ・ア・ポコ
と、トッポジージョがギターを持って歌っていた。
トッポジージョは僕が子どもの頃、
テレビで人形劇として放送されており、
終わるときに必ずこの歌が流れるのだ。
当時の子ども番組、それも動物が主人公の番組には
似つかわしくないメランコリックなメロデイで
トッポジージョは
ミッキーマウスとかジェリー(トムとジェリー)とは
ひと味ちがう、ちょっと大人っぽいイメージのネズミだった。
振り返ってみると、スパゲティ以外では
はじめてのイタリア体験だったかもしれない。
人形劇の内容はさっぱり憶えてないが、
僕の中では勝手に海に沈む夕日に向かって
ギターを弾いているトッポジージョの姿が形成されていた。
ナポリタンスパゲティのイメージも絡まって、
すっかりナポリのネズミだと思っていた。
昭和40年代はスパゲティと言えば一般的には、
赤いウインナーの乗っかったケチャップ和えのナポリタンか、
ミートソース(今でいうならボネーゼ)しかなかったので。
でも、つい最近知ったことだが、
トッポジージョはナポリでなく、ミラノのネズミらしい。
ちなみに「ポコ・ア・ポコ」というのは
イタリア語で「少しずつ」という意味で、
イタリア料理店、パン屋さん、お菓子屋さんなどの
店名としてよく使われているようだ。
かわいくて憶えやすい語感だからね。
トッポジージョは僕の中で、いたずら野郎でなく、
そういうメランコリックなネズミなのだが、
当たり前のことながら、夕空を見て叙情的になるネズミはいない。
基本的に夜行性なので、
夕方になれば活動開始!と思うだけである。
いつも散歩する公園では夕刻になると、
僕が「ネコ林」と呼んでいる場所に野良猫たちが集まってくる。
日が暮れる頃になると、ネコ使いのおばさんがやってきて
ごはんをくれるのを知っているからだ。
ネズミもネコもイヌも、人間のように夕日を見て
何か物思うことなんてしない。
そもそも彼らは四つ足で地面に近いところで生きているので
空なんて見上げない。
見るとしたら、上空から猛禽類が襲ってくるかも知れない、
という危険を感じた時だけだ。
でも人間も都市に暮らし、引きこもって生活していると
空を見上げなくなる。
朝でも夜でもいいから1日に何回か空を見上げないと、
だんだん人間から四つ足動物の感性になっていく、
ような気がする。
さて、と書いてきたことは僕の勝手な思い込みで、
空を見上げるのは実は人間の特権ではないのかもしれない。
もしかかして、あなたが一緒に暮らしている
イヌやネコやネズミは
遠い空の彼方に思いを馳せたり、
夕焼け空に叙情を感じたり、
「見上げてごらん夜の星を」を心の中で歌い、
UFOを発見し、ETとコンタクトできるのかもしれない。
もしそんなイヌやネコやネズミがいたら教えてほしい。
ポコ・ア・ポコ。
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