子どもの頃、僕が暮らしていた小さな家には縁側があって、
柿と柘榴と無花果の木が生えていた。
猫の額ほどの小さな庭だったが、
子どもの目にはずいぶんと広く見えた。
縁側では祖父や祖母といっしょに
みかんやお菓子などを食べていた記憶がある。
真冬に白い雪が積もっていたこともあった。
中学生の頃、出逢ったこの歌は
そんな情景を思い出させてくれる。
そして、いつもこの歌の主人公の少女は
いくつなのだろう? と考えてきた。
歌詞の1番の少女は9歳じゃないかと思う。
2番の少女は19歳だろうか。
9歳の少女は夢が崩れるのを見ても
縁側に座っているしかなかった。
けれど、19歳の少女は色あせた夢を捨てて
垣根の向こうへ旅立つことができた。
だけども最近、もしかしかしたらどちらも
本当は90歳のばあちゃんなのかもしれない
と考えるようになった。
叶えた夢も、叶えられなかった夢も、
いずれは手放さなくてはならない。
老いた時、人はそのことを知る。
そして9歳でも、19歳でも、90歳でも、
どの女にもその内側に少女がいるのだ。
人間は経験しなくても、勉強しなくても
生まれながらに生きる知恵と勇気を携えている。
その人ならではの知見もたくさんある。
五輪真弓はそんな普遍的な人間存在への思いを
美しい旋律に乗せた。
男の中にも少女がいることを伝えた。
一生の伴侶となる歌に出逢えたのは、
とても幸福なことだと思う。
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