先日、金融詐欺で3000万円を騙し取られたと言う人を取材した。
3万とか30万じゃないよ、さんぜんまん!
べつにセレブとか資産家ではない。
庶民の部類と言っていいだろう。
いったいなんで?
経緯を聞くと、昨年末に海外の女性から
faceBookの友達申請があった。
彼は“彼女”と面識がなかったが、日本名なので、
海外在住の日本人かなと思って、つい承認してしまった。
そして交流が始まった。
会話も日本語でできるのでスムーズだ。
数回やり取りしただけでとても仲良くなった。
その国で先進的ビジネスを展開しているという“彼女”は、
「社会に必要な、尊敬すべき立派な素晴らしい人」と
彼のことを褒めたたえた。
実際、彼はそう言われておかしくない職業の人なので、
そうした甘言にも違和感を持たなかったのだろう。
そして彼の頭の中には“彼女”が
「賢く、優しく、美人なビジネスウーマン」という虚像が
生成されていたのではないかと思う。
事業を拡大するために、資金を増やすことを考えていた彼は、
そのことについて相談すると、
“彼女”は「短期間でお金を増やせる方法を知っている」と、
とある仮想通貨を使った利殖を薦めた。
現金を仮想通貨(いま、結構人気のある銘柄)に替え、
とある証券会社を通して再度現金化すれば、
確実に原資を増やせる、という仕組みを伝授されたのだ。
お読みの方はお分かりのように、この仲介となる証券会社が、
“彼女”のいる詐欺グループがでっち上げたニセ会社だったわけ。
彼はなまじっか株など金融取引の知識・ノウハウがあったため、
この罠にスポッとはまってしまった。
最初の数回、ちゃんとお金が増えてバックされてきたので、
すっかり“彼女”とその証券会社を信じてしまったのだ。
金融取引のことも仮想通貨のことも
勉強してきたから知っている。
まさかおれが騙されるはずがない。
これは本物。これはイケる。
この調子でいけば年内に資金は倍額じゃ。
よっしゃ、いったれー!
僕は経験ないが、ギャンブルで勝っているときも
きっとそういうノリになるのだろう。
勢いがつくともう止まらない。
一種のトランス状態になるのかも知れない。
というわけで彼は毎日どんどんお金を突っ込んだ。
ところが数日するうちにお金が引き出せなくなり、
おかしいなと思った時にはすでに手遅れ。
結局、手元にあった資金の3000万円すべてを失っていた。
これは2020年最後の10日あまりの出来事だ。
その証券会社は消え失せ、もちろん“彼女”からは
何の連絡もなくなった。
facebookのアカウントも消えていた。
「正気に戻って考えてみたらおかしいですよね」
あったりまえだよ。
3万とか30万じゃないよ、さんぜんまん!
でも詐欺に遭うとは結局こういうことなのかもしれない。
頭の中がカネに絡んだ妄想で満たされ、
脳がファンタジー化してしまうのだ。
彼は努めて明るく冷静に話してくれたので、
事業資金は失ったものの、
生活に支障はないのだろうと思ったら、
最後に「これから福祉事務所に相談に行きます」
えー、そんなー。
生活費もなくなっちゃったの!
「同情するならカネをくれ」と言われても困るので、
そこで取材は終えたが・・・うーん。
コロナ禍の中、こういう事件は頻発しているようです。
「まさか、おれが、わたしが」と言うあなたの身にも
起こり得ることかもしれない。
くれぐれもご注意ください。
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もくじ
●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える
●アーティストたちの前に扉が開いていた
●21世紀のビートルズ伝説
●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について
●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌 ほか
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