おそらくいちばん女子ウケするツェッペリン・ナンバー。
有名どころではシェリル・クロウが1990年代にカヴァ―したり、
「デジャ・メイク・ハー」という曲名そのままの
日本のアイドルグループもいる。
ビートルズ以外、ロックなんてほとんど興味のない、
もちろんレッド・ツェッペリンなんて全然聴かない
うちのカミさんもこの曲だけは好きだという。
レゲエとトラッドフォークのエッセンスをブレンドした
ポップでキュート、楽しくてご機嫌なリズム。
それでいながら思いっきり「ZEP節」になっている。
僕の「マイ・ツェッペリン・ベスト」の中でも、
つねに5本の指に入れている。
レッド・ツェッペリンといえば、
1970代のロックバンドの最高峰に位置するとともに
「ヘヴィメタの元祖」というのが世間一般のイメージ。
超名曲「天国への階段」は別格として、
いまだファンが挙げる彼らの代表曲は、
「胸いっぱいの愛を」や「移民の歌」などの
ヘヴィメタナンバーばかりだ。
、
僕はこれらの曲が昔からどうも好きになれない。
どうしてツェッペリン=ヘヴィメタなのか?
ヴォーカルのターザンみたいな雄叫びや、
宇宙空間で唸るようなギターとドラムなど、
演奏表現としては面白いと思うけど、
楽曲として美しくも楽しくもないし、心に響かない。
レッド・ツェッペリンの本当の魅力は、
特に3枚目以降のアルバムで聴ける、
ワールドミュージックを取り込んだ広大な音楽宇宙だ。
そこには世界各地の音楽に宿る精霊みたいなものが感じられる。
それを現代的なロックのビートに乗せて、
独自のZEP節にしてしまう作曲力と演奏力が素晴らしい。
圧倒的なオリジナリティ。
まさしくキング・オブ・ロックバンドの所業。
レゲエがポップミュージックの世界でまだ認識されておらず、
当然、ジャンルとしても確立していなかった1973年に
レゲエを取り入れてこんな斬新な曲を作れたのは、
このバンドだけだ。
今では多くのレゲエアーティストがこの曲をカヴァーしている。
ユニークなタイトルは、イギリスのジョークと
レゲエ発祥の国「ジャマイカ」を掛け合わせたもの。
実際、彼らは“ジョーク”としてこの曲をアルバムに入れ、
その後、二度と演奏しなかった。
この映像は曲に合わせて、
他の曲をやっているライブシーンを編集したものだ。
半世紀たっても絶大な人気と影響力を持つ
キング・オブ・ロックの魅力を
ひとりでも多くの人に味わってもらいたい。
「デジャ・メイク・ハー」は、その入口として最高だと思う。
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ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。
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もくじ
●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える
●アーティストたちの前に扉が開いていた
●21世紀のビートルズ伝説
●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について
●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌 ほか
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