週末の懐メロ13:デジャ・メイク・ハー/レッド・ツェッペリン

 

おそらくいちばん女子ウケするツェッペリン・ナンバー。

有名どころではシェリル・クロウが1990年代にカヴァ―したり、

「デジャ・メイク・ハー」という曲名そのままの

日本のアイドルグループもいる。

 

ビートルズ以外、ロックなんてほとんど興味のない、

もちろんレッド・ツェッペリンなんて全然聴かない

うちのカミさんもこの曲だけは好きだという。

 

レゲエとトラッドフォークのエッセンスをブレンドした

ポップでキュート、楽しくてご機嫌なリズム。

それでいながら思いっきり「ZEP節」になっている。

僕の「マイ・ツェッペリン・ベスト」の中でも、

つねに5本の指に入れている。

 

レッド・ツェッペリンといえば、

1970代のロックバンドの最高峰に位置するとともに

「ヘヴィメタの元祖」というのが世間一般のイメージ。

 

超名曲「天国への階段」は別格として、

いまだファンが挙げる彼らの代表曲は、

「胸いっぱいの愛を」や「移民の歌」などの

ヘヴィメタナンバーばかりだ。

僕はこれらの曲が昔からどうも好きになれない。

どうしてツェッペリン=ヘヴィメタなのか?

 

ヴォーカルのターザンみたいな雄叫びや、

宇宙空間で唸るようなギターとドラムなど、

演奏表現としては面白いと思うけど、

楽曲として美しくも楽しくもないし、心に響かない。

 

レッド・ツェッペリンの本当の魅力は、

特に3枚目以降のアルバムで聴ける、

ワールドミュージックを取り込んだ広大な音楽宇宙だ。

そこには世界各地の音楽に宿る精霊みたいなものが感じられる。

 

それを現代的なロックのビートに乗せて、

独自のZEP節にしてしまう作曲力と演奏力が素晴らしい。

圧倒的なオリジナリティ。

まさしくキング・オブ・ロックバンドの所業。

 

レゲエがポップミュージックの世界でまだ認識されておらず、

当然、ジャンルとしても確立していなかった1973年に

レゲエを取り入れてこんな斬新な曲を作れたのは、

このバンドだけだ。

今では多くのレゲエアーティストがこの曲をカヴァーしている。

 

ユニークなタイトルは、イギリスのジョークと

レゲエ発祥の国「ジャマイカ」を掛け合わせたもの。

実際、彼らは“ジョーク”としてこの曲をアルバムに入れ、

その後、二度と演奏しなかった。

 

この映像は曲に合わせて、

他の曲をやっているライブシーンを編集したものだ。

 

半世紀たっても絶大な人気と影響力を持つ

キング・オブ・ロックの魅力を

ひとりでも多くの人に味わってもらいたい。

「デジャ・メイク・ハー」は、その入口として最高だと思う。

 

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もくじ

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●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌  ほか