11月に開かれたエンディング産業展2020の出展ブースの中で、で印象に残ったのものが「真珠葬」だった。
ペットの遺骨を真珠にする真珠葬「虹の守珠(もりだま)」は、2018年11月に事業として開始された。
真珠になるまで1年~1年半かかるため、2019年末、初めての遺骨の真珠が依頼主(犬や猫の飼い主)の手もとに返された。
8㎜以下の遺骨を8個預かり、個体識別用のICチップとともに樹脂でコーティングした後、アコヤガイに入れ、10㎜前後の真珠に育てる。
場所は長崎県の奈留島(五島市)にある「多賀真珠」という養殖場で、その養殖業者、長崎大大学院水産・環境科学の教授、そして、化粧品・健康食品など、女性のための企画商品を開発しているウービィー株式会社のの社長の3者が共同開発した。
このサ-ビスの素晴らしいところは、単に遺骨を1年間預かって真珠にします、というだけでなく、その「過程」を大事にすることだ。
コーティングした遺骨を核入れした後、真珠の生育状況を写真や動画で撮影してコメントをつけたレポートを随時、依頼者ひとりひとりにネット配信している。こうしたやりとりを通して丁寧に気持ちをつなぐことが、高質な付加価値になっている。
つまり、ストーリーがあるのだ。
結果だけポンと渡されても感動は生まれない。
誰もが結果ばかりを重視し、早く結果を知りたがる世の中だから、逆に時間と手間暇をかけた、こうしたサービスが貴重に思えるのかも知れない。
やさしく丁寧なイメージを大事にしているので、積極的な広告は打たず、人から人へ口コミなどで自然に伝わり、心に留まるのが相応しいと考えている。
とは言え、事業である以上、世の中に存在をアピールしたい、ペットの葬儀や仏具を扱う人にも知ってほしいという思いがあって出展したという。
少し意地悪く「それじゃ、こうやってアピールして、いっぱい引き合いが来たらどうするんですか?」と質問してみたら「予約待ちしていただきます」という返事だった。実際、生前から亡くなったら真珠葬をしたいという予約問い合わせが少なくない。
今、ペットの遺骨はお墓に埋葬するか、庭に埋めるか、自宅で保管するか、という3択だという。する・しないは別にして、そこに虹の守珠が加わればそれだけでいい。
飼い主の人たちの心の中に真珠葬というもう一つの選択肢があることが大事なのだ、というお話だった。
預けた人が「子どもを留学に出しているような気持ちになる」という真珠葬。
亡くなったのに成長を見守ることができ、「行ってらっしゃい」「おかえり」と言葉を掛けられる。
ペットの飼い主は、いずれは看取りをしなくてはならず、ペットロス症候群を覚悟する必要もあるが、そうした人たちにとってのグリーフケアの一つになると思う。
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●あらすじ
カナコは10歳。小学4年生。
一人娘の子育てに悩まされながら、生活を支えるのに忙しい母親のマヨと二人暮らしをしている。
しかしもう一人、というか一匹、いっしょに暮らす同居者がいる。その名は「イタチ」。ペットのフェレットだ。学校でも家でも口をきかないカナコにとって、イタチは唯一、心を開いて話ができる親友であり家族だ。
国語の授業で、その大好きなイタチのことを作文に書いたら、
担任のあかり先生が目にとめ、
「すごくいいので、コンクールに出しましょう」と言ってきた。
そんなつもりじゃなかったのにと、内気なカナコは困惑し、
先生に激しく抵抗する。
しかし、母と先生と関わる中で、カナコはだんだん変わり始める。それをイタチは察知していた。彼女が3歳の時からずっと一緒に暮らしてきたイタチは、地球に生まれて間もないころから、自分がカナコに必要な存在だとわかっていた。
彼は天国にいた時の記憶を持っている。
天使だったイタチは、もともと人間として地球に生まれることを望んでいたのだが、生き物としての命を与え、地球に送る〈地球いきもの派遣センター〉の手続き上のミスによって
人間になるのを諦めた。
その代わりにフェレットとして
ワンサイクルの命をまっとうすることになったのだ。
子どもからちょっとおとなに変わっていくカナコと、
そのそばで天使の目を持ったまま生きるフェレットのイタチ。
それぞれの視点から代わる代わる、日常生活とその中で起こる事件の数々、そして、ふたりの別れまでのストーリーを描く。
なお、表紙イラストは
漫画家・イラストレーターの麻乃真純さんが制作。
「パートナー 進め!ソラ」「ほっと・ペットクリニック」「あしたはハッピードッグ」「母のバッカス」「いぬの先生」など、動物ものの作品を多数発表している。
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