国連児童基金(ユニセフ)が3日、
先進・新興国38カ国に住む子どもの幸福度を調査した
報告書を公表した。
これを読むと、
どうも日本の子どもはあんまり幸福ではないらしい。
「身体的健康」では1位なのに、
「精神的な幸福度」は37位と最低レベル。
めちゃくちゃアンバランスだが、
平均取ってトータルでは20位なので、いちおう中程度?
これをいったいどう読み解けばいいのか?
そもそもこういうランキングにどんな意味があるのか?
それぞれの国にはそれぞれの条件・生活・文化があるのだから、
国際比較することに無理があるのではないか?
—-という批判はもっともかなと思う。
けどやっぱり目をつむっていてはいけない。
「精神的な幸福度」は生活満足度と自殺率で
指標化されているというが、
やっぱり学校におけるいじめ問題、
また家庭における虐待問題が
大きく影響していると思う。
僕たちはもうそういう報道にも慣れて麻痺してしまって、
大した問題だとも思わなくなっているのではないか。
明治時代にやってきた欧米の知識人が
びっくりするほど子どもをかわいがり、
老人を敬う国だった—-という妖精の国・日本。
だが、100年後の現代日本はどうもそうなっていない。
子どもの保育施設、保護施設、
また、高齢者の養護施設などは
「迷惑施設」とみられることが多い。
東京では保育園の建設に住民の反対運動が起こったり、
虐待された児童の保護施設の建設に
「地域イメージが悪くなる」「地価が下がる」といった理由で
これまた反対運動が起こった。
高齢者の養護施設も、障がい者施設も同様。
先だっての7月の九州の豪雨では、
水害リスクの高い地域に建てられた高齢者施設が
浸水被害に遭い、死亡者まで出た。
家族が訪問しやすいように山の上や高台などではなく、
利便性の高い川沿いに作った--という前向きな理由もある。
けれどもこれも「迷惑施設」ということで、
あまり人の目に触れないところに作らざるを得なかった、
という経緯があるようだ。
土地の値段など、現実的な問題もあるので
一概にけしからんとは言わないが、
気になるのは、こうした子ども施設や高齢者施設を
「迷惑施設」と言ってしまう大人のメンタリティ。
自分がかつて一人では生きられない
子どもだったという記憶も失い、
生き続ける限り、いずれ老人になっていくという
想像力も働かない大人はヶく大勢、この国にはいる。
生産社会に関わらない人たちの居場所を「迷惑だ」と
行政に訴えるセンスのなさは絶望的だ。
政治がどうとか、制度がどうとかいう前に、
こういうひとりひとりのエゴイズムがどうにかならない限り、
子どもの幸福度が上がるはずもなく、
いずれこの国は不幸な人であふれかえることになるだろう。
特にコロナのせいでストレスが溜まっている昨今は
とてもとても心配になってくる。
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