世界一幸福な国ブータンの輪廻転生

 

インド・中国という2つの大国に囲まれた南アジアの小国、

ヒマラヤ山中にあるブータンは

「世界一幸せな国」として世界中に知られている。

九州と同じくらいの面積の国土、高知県と同じくらいの人口。

小さくとも日本と同様、明確な四季のある美しい国らしい。

 

この国を有名にしたのは何と言っても

「世界一幸せな国」というキャッチフレーズだろう。

これは「国民総幸福量」というGDP(国民総生産)とは

まったく異なる新しい国づくりの指針から生まれた言葉でもある。

 

ブータンは1960年代まで鎖国政策をとっていたが、

1971年に国連に加盟。

その際に第4代国王が『我々の国の方針は、

国や国民の為に経済的独立、繁栄、幸福を実現し

国をまとめることと語り、GWH(国民幸福量)を取り入れた。

 

このGWHは2年ごとに、

4つの柱(持続可能な社会経済開発/環境保護/伝統文化の振興/優れた統治力)、

9つの指標(心理的幸福/時間の使い方とバランス/文化の多様性/地域の活力/環境の多様性/良い統治/健康/教育/生活水準)にしたがって約1万人を対象にした聴き取り調査が行われる。

 

その詳細はさておき、「医療や教育が無償で平等に提供されている」という福祉の手厚さと、国教であるチベット仏教に対する厚い信仰心がブータン人の幸福感の理由の基本となっているようだ。

 

チベット仏教は人々の死生観にも大きな影響を与えている。

ブータンでは輪廻転生が信じられており、

死んでもまた別の何かに生まれ変わると考えられている。

つまり現世における生や死は、

輪廻転生という悠久の時間の中で起きる小さな一コマ、

ごく自然な一つの現象と捉えられているのだ。

 

ちなみにこれだけ世界中がコロナに振り回されている時に、

コロナによる死者は今のところゼロ。

 

そんな奇跡の国ブータンの幸福も、

じわじわとインターネットによるさまざまな情報の流入で

徐々に侵されつつある・・・

 

というところまで書いてから歩きに出ると、

道にコロコロこの夏の命を終えたセミたちの死骸が転がっている。

足元のセミを見て、

なぜか自分は今度生まれ変わったらセミになリそうな気がした。

 

長年土の中で幼少時代を過ごして

やっと表で出た~と思ったら、

せいぜい数週間生きて終わて、アリの餌になる。

 

なんだか哀れにも思えるけど、

それは人間視点だから。

セミはセミでそれは幸福なセミ生なのかもしれない。

 

 

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