昨日はドアーズのファーストアルバム
「ハートに火をつけて」のことを書いたけど、
このアルバムに収録されている
「WiskeyBar(Arabama Song)アラバマソング」は、
いかにもドアーズ、ジム・モリソンらしい、
奇妙で捻じれた曲調の、エロチックでひどくユーモラスな歌だ。が、これは彼らのオリジナル曲ではない。
演劇人の間では有名な「三文オペラ」の作者
ベルナルト・ブレヒトが
作曲家のクルト・ワイル(ヴァイル)とコンビを組んで作った
「マホガニー市の興亡」というオペラの挿入歌である。
どこかの国(母国ドイツをイメージ?)から逃亡してきた
お尋ね者の3人組が、
アメリカ南部のアラバマ州(らしき地域の)の砂漠に
「マホガニー市」という「欲望がかなう街」を建設。
カネと酒と女(男)を求めて集まってくる
男や女たちの悲喜劇を描く。
この物語「マホガニー市の興亡」は初演が1930年のベルリン公演。
90年以上も前の作品にも関わらず、内容はあまりに現代的だ。
「三文オペラ」と同じく、
人間批評・社会批評たっぷりに描かれており、
あらすじを読む限り、ラ
ストも決して「人間って素晴らしい」と歌い上げる
ミュージカルなどとは真逆の、かなりシニカルな内容だ。
しかし、この作品は欧米で非常に人気が高く、
戦後、くり返し上演されてきたという。
その代表曲ともいえる「アラバマソング」も人気抜群で、
ドアーズをはじめ、実にいろんなミュージシャンや俳優が
この歌をカバーしている。
物語の世界観・菓子のユニークさも含め、
音楽家たちにとってチャレンジし甲斐がある、
面白い曲なのだろう。
ドアーズバージョンで、モリソンは2コーラス目
「Show me the way to next little Girl?」
(教えてくれよ、この近所にいい娘いないかい?)と歌うが、
オリジナルではnext prety Boy――
「近所にいい男いないかしら?」となっている。
つまりもともとこれは、
男を漁りに来た娼婦らが歌う歌なのだ。
このオペラについては「オペラ対訳プロジェクト」
というサイトで詳しく紹介・解説されており、
初演で主役を演じた女優(歌手)ロッテ・レーニャの
「アラバマソング」も聴ける。
対訳もすごく面白い。
「モシモイイ男ガ見ツカラナカッタラ、
私タチ死ヌヨリ他ナイノデス!」なんて最高だ。
ちなみにこのロッテ・レーニャという人は、
クルト・ヴァイルの奥さんなんだそうで、
同じドイツ人のせいか、
何となくマリーネ・ディートリッヒをイメージさせる。
この作品、最近では日本では
2016年に山本耕史やマルシアらが出演して
音楽劇として上演されている。
なかなか興味深いストーリーなので、
コロナ禍が去って再演されるようなことがあれば観てみたい。
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