夜、目にするものは、たとえ現実世界の出来事でも半分は夢だ。
そういう思いを強くしたのは、
先週、ズムキャバ(オンラインキャバクラ)の
メニューにずらりとを並んだキャバ嬢の顔を見たから。
もう昔話になるから書くが、
夜、女の子と一緒に寝て、翌朝、起きたときに
キラキラした朝日の中でその顔を見たら、
「あんた誰?」となったことが一度ならずあった。
現代の、わが身に起こったのっぺらぼう伝説。
そんなのっぺらぼうさんの話なんてとっくの昔に忘れていたが、
ズムキャバのお嬢さんたちによって
記憶が掘り起こされてしまった。
ズムキャバに限らず、画像処理技術の発達で、
ネット上には詐欺女が跳梁跋扈している。
素顔との間の、行き過ぎたソーシャルディスタンス。
メイクなのか、画像処理なのか。
それともダブルスタンダードなのか。
まったく別人に見えたAちゃんとBちゃんとCちゃんが
実は同じ娘だった・・・なんてことは、
もはや普通にありそうだ。
いや、それどころか実は男でした、
ということもまた。
けれどそれもご愛嬌。
心の狭いことを言ってちゃいけない。
ウィズコロナの時代、オンライン需要が増えれば、
現実と虚構の間の壁は、今まで以上にますますメルトダウンする。
顔の修正ごときに目くじら立てていたらキリがない。
夢は夢で楽しめばいい。
夜の事象はうたかたの夢。
だから半分は信じないほうがいい。
自分のことだって信じないほうがいい。
通販サイトやテレビを観てて、
つい余計なもの買っちゃって後悔するのも、
たいてい夜中の出来事。
「この時間だけですよ」なんて煽り文句につられないよう、
「確定」するのは朝の光の中で。
信じていいのは、朝の自分ですよ。
だれの心のなかにも「子ども」がいる。
自分のなかにいる子どもにアクセスしてみれば、
何が本当に大切なのか、何が必要なのか、
幸せになるために何をすればいいのか、どう生きるのか。
自分にとっての正解がきっとわかる。
〈少年時代の思い出〉×〈子育て体験〉×〈内なる子どもの物語〉で
モチモチこね上げた おりべまことの面白エッセイ集。
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