月刊仏事で「世界のEnding Watch」という連載を担当している。
毎月、世界各地・各国の近年の葬祭の実情や、
葬祭文化・習俗について紹介するのだが、
来月号はさすがにコロナウィルス関連の話をやらざる得ない。
葬儀関係のニュースは医療問題のあとにやってくるので、
この2週間ほどでどんどん増えてきた。
イタリア、スペインやニューヨークの惨状を伝えるニュースなどを読んでいると、気分が落ち込んでくる。
他国のこととはいえ、
こんなことが起こるなんて夢にも思わなかった。
そんな中、今、世界的に注目を集めている
アーダーン首相のニュージーランドの対策に関する
BBCの記事が昨日上がっていた。
同国では現在、最も厳格な「警戒レベル4」(「不可欠な移動」以外は自宅待機など)だが、これを「レベル3」に引き下げるという。
「レベル3」では、学校は「受け入れ人数を制限」して再開される。事業も再開できるが「顧客との物理的な接触」は認められない。
また、10人までの集会は、結婚式や葬儀、
タンギハンガ(マオリ族の葬儀)に限り許可される。
あまり葬儀には関係ない記事だったが、上記の部分が検索に引っ掛かったらしい。
「結婚式や葬儀、タンギハンガ(マオリ族の葬儀)に限り
許可される」
というのは同国の社会における文化、歴史、価値観が反映されていて興味深い。
それにしても「成功例」とされているニュージーランドさえ、
まだこのレベルの厳しい措置。
ゴールデンウィーク明けの日本の緊急事態宣言解除は夢のまた夢という感じがする。
後半にある「経済より健康を優先」という項目は
心を奪われるものがあった。
新型ウイルスの最新研究について、政府に助言し定例会見にも参加してきたオークランド大学の准教授、スージー・ワイルズ博士は、アーダーン氏や政府が明確に市民の健康を最優先してきたことが、COVID-19対応の鍵だったと言う。
経済への影響を恐れて行動制限を遅らせたほかの国は現在、はるかに困難な時期に突入している。
ワイルズ氏は、「住民が死んでしまったとか、どんどん死んでしまうのは言うまでもなく、経済にとって打撃のはずだ」と述べた。
何を優先するのか?
何が本当に大切なものなのか?
政府や国民の普段の考え方・価値観が、
こうした災禍に見舞われた際に炙り出されてしまう。
日本はオリンピックのホスト国だったこと。
その経済効果をもくろんでいたことが仇になってしまった。
それが初期の段階で、
政府や国民の判断を狂わせてしまったのかも知れない。
てなことを今さら言っても遅いけど、
日本人の生活習慣、衛生観念は、欧米諸国に比べて
感染症に強いのではないかと希望的観測を持っている。
せめてこの2週間ないし1か月ほどは、
昔の日本人のような質素な暮らしを
重んじる心構えで過ごせないか。
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