本日4月11日(土)17:00から13日(月)16:59までの2日間、
「ロンドンのハムカツ/おりべまこと」の無料キャンペーンを
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あなたのひきこもり生活に、栄養満点のハムカツはいかが?
「食」こそ、すべての文化のみなもと。
その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、日々の生活も深遠な思想・哲学も、すべてがスープのように溶け込んでいる。
「食べる」を学び、遊び、モグモグ語る
おりべまことの面白エッセイ集。
自身のブログ「DAIHON屋のネタ帳」から厳選・リライト。
この機会にぜひ。
★収録エッセイ(33編)
・お米と田んぼとお母ちゃんのニッポン!
・お米を研ぐ理由と人間の味と匂いの話
・永遠の現物支給
・フツーのおにぎりでも日本のコメなら800円!?
・ロンドンのハムカツ
・インヴァネスのベーコンエッグ
・ニューヨーク発アボカド愛
・英国名物フィッシュ&チップスの材料にイカが選ばれるようになったグローバル化現象に関する私的考察
・フランス革命とマカロン大統領と「パンがなければお菓子を食べろ」発言の真相
・ハムカツの呪い
・脳が構築する「風味」:人間の食と世界観
・人間の歴史はチョコレート前とチョコレート後とに分かれる(かも)
・幻想やストーリーでおいしくなる日本食
・肉じゃがは幻想のおふくろの味
・なんで肉じゃがはお母さん食堂のメニューにないのか? についての探求と考察
・恐竜の唐揚げ
・キノコ愛
・スーパーマーケットをめぐる冒険旅行
・むかしのコロッケ、みらいのコロッケ、まあるいコロッケ
・ドラもんがどら焼きの売り上げに及ぼした経済的効果について
・ホントは新商品じゃないけど、新商品に見せる編集・編曲の能力
・中高年はめざせ!中川屋嘉兵衛
・「ありがとう」の思いを込めた動物供養は、世界オンリーワンの日本の文化
・「世界屠畜紀行」の「屠る」と「食べる」
・人を食った話
・「おいしいケーキは年一度」の誓いと追憶のバタークリームデコレーションケーキ
・脳が知っている、豆腐小僧の食歴と健康食
・最後の晩餐の演出
・ジャイアント馬場と大福とで創り出すアッポーな化学反応
・勤労感謝の日は農業感謝の日に
・スーパーマーケット・イン・マイライフ
・植物のいのちは人間・動物より高次元にある
・「酒タバコ、やめて百まで生きたバカ」の最後の晩餐は、雪のように真っ白なごはん
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月額980円で読み放題というサービスもあります。
しかも30日間無料体験付き。
スマホやタブレットに無料アプリをインストールしておけば、
いつでも好きな本を好きなだけ、好きな時に読めますよ。
利用してみてください。
では、せっかくなのでここで1編試読をどうぞ。
●肉じゃがは幻想のおふくろの味
「肉じゃが作ってちゃぶだい」
ダンナやカレ氏にそう頼まれたことがある女性はどれくらいいるのだろう?
僕はおふくろもカミさんも肉じゃがが嫌いなので家で食べたことはほとんどない。おふくろの場合はもしかしたら子どもの頃、作ってくれたことがあるかもしれないけど思い出せないし、カミさんの場合は自信を持って「一度もない」と言い切れる。どうして嫌いなのか聞いたら「ジャガイモが半分煮崩れて汁や他の具材と混ざっているのが嫌」なのだそうだ。自分が嫌いなものだから作るはずがない。
と言って別に文句を言っているわけではない。僕もカレーのジャガイモやポテトサラダやフライドポテト、コロッケその他、基本的にジャガイモ料理は好物だが「おれは肉じゃがを食べた~い!と叫んだことはない。サトイモの煮っころがしは好きだけど、あの甘い醤油の汁はじゃがいもには合わないのだ。
思うに肉じゃがは日本が近代化して間もない貧しい時代、そして庶民も月に一度くらいは肉を食べられるようになった時代――明治とか大正に庶民の食卓で発展したおかずなのだ。一家のお母ちゃんがかまどの前に立ち、家族みんなで食べるには少なすぎる肉をどうやって食べるか思案し、そうだ、あのすき焼きのような味(当時は肉を使ったごちそうといえばすき焼きをおいて右に出る料理はなかった)のものにしよう、安い野菜と合わせて煮るんだ。そうだジャガイモがいい。ジャガイモを主役にすればお腹もいっぱいになるし、それにあまりものの玉ねぎやニンジンを入れて煮込めば・・・はい、出来上がり!
という感じでお母ちゃんが工夫を凝らして生まれた料理が肉じゃがなのだ。これがデン!と鉢に盛られて食卓の真ん中に置かれる。立ちのぼるほかほかとした湯気と、小さな家の中を満たす匂い。これ以上食欲をそそるものはない。
「いただきまーす!」
十人もいるような大家族がいっせいに競いあって食べる。
「こらノブオ!肉ばっかり選って食べるじゃない!」
母ちゃんのやさしく、あたたかい怒声が飛ぶ。他におかずと言えば漬物くらいしかないが肉は食えるし、ジャガイモでお腹はいっぱいになるし、今夜の家族は幸せだ。そんな時代が長く続き、肉じゃがは不動の「おふくろの味」となった。
しかし豊かになり、これだけ食べるものが豊富にある現在の日本で、この料理に強く心を惹かれる人はそんなに大勢いるのだろうか? 街の中の定食屋に入っても「肉じゃが定食」なんてお目にかかったことがない。食べるとしても副菜とか小鉢でつまむ程度で、もはやメインディッシュとなり得ない。古き貧しき日本の郷愁を具現化し、明治・大正・昭和のストーリーを背負った肉じゃが。ばあちゃんもおふくろもカミさんも誰も作らなくなったこの料理は「ファンタジー料理」「思い出料理」として今後も生き残っていけるのだろうか? その行く末をやさしく見守りたいと思う。
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