●東京タワーの誕生日
12月23日は今年から天皇誕生日ではなくなったが、
依然として「東京タワーの日」であり続けている。
昨日、年に一度の東京タワー詣でに行った。
この足もとのお寺に、
10年前に亡くなった友達のお墓があるので、
毎年、12月の命日あたりに墓参りに来るのだ。
その友だちは50で死んだが、
東京タワーはもう還暦を過ぎた。
昭和33年(1958年)12月23日竣工。
61歳におなりだ。
後輩の東京スカイツリーに高さも人気も
追い越された感が強いが、
まだまだ引退というわけにはいかない。
●金の卵と東京タワー
前回の東京オリンピックの頃、
地方から集団就職で上京してきた「金の卵」たちにとって、
東京タワーは、いまだにかけがえのない
東京のシンボルであり続けているはずだ。
僕はさすがにその時代のことは知らないが、
バーチャルの世界で、東京タワーが多くの人にとって
いかに巨大な存在かを思い知らされた。
●神のモスラ、悪魔のギャオス
昭和の時代、映画の中でこの塔はモスラに繭を作られた。
平成の時代になると、今度はギャオスに巣を張られた。
いずれのシーンも、そのあまりの美しさが、
特撮映画ファン、怪獣映画ファンの間で、
令和になった今も語り草になっている。
他にも映画だかテレビの中で、
いろいろな怪獣の攻撃目標になっていた。
それら、人間社会にとっての破壊と
神とも悪魔ともつかない
モンスターにとっての誕生のシーンは、
この都市に限りない愛着と、果てしない憎悪という
二律背反の思いを抱く、
地方出身者たちの心の中を映し出しているように思う。
だから東京タワーは、
彼らが、僕らが生き続ける限り、
シンボルであり続けるのだ。
●東京タワーが抱かせてくれる幻想
少なくとも新参者で、まだ7歳のの東京スカイツリーに
そんな幻想を被せる人はあまりいないだろう。
積み上げられた時間の差、刻み込まれた歴史の差は
いかんとも埋めようがない。
僕も地方出身者なのでそう感じるのだろうか?
東京タワーに特に愛着があるわけではないけれど、
年に一度、ここを訪れるたびに、
そんな妄想に取りつかれてしまう。
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