アナログレコードとの再会

 

とあるレコード店のコピーライティングを

やることになった。

音楽、レコードは大好きなので、とても嬉しい。

 

が、待てよ。

じつはもう30年以上、まともにアナログレコードを聴いてない。

 

僕がアナログレコードを熱心に、

それこそ盤が擦り切れるほど聴いていたのは、

中学生から25歳まで。

 

ロンドンで働くために、それまで住んでいた

江古田(練馬区)のアパートを引き払った時、

ステレオセットを売り払ってしまい、それっきり。

今から思えば、わずか10年余りの期間だ。

 

でもその10年は今の10年と全然違っていた。

いわゆる日常生活やお金を稼ぐ仕事は適当にうっちゃいといて、

本と音楽と演劇・映画に浸っていた。

 

一枚のレコードはA面・B面合わせて

短いのだと30分少々、長くても50分くらい。

でも、その1時間に満たない時間が、

とてつもなく豊かだった。

 

仲間や友達、あるいは付き合ってた女の子と

いっしょに聴くことも、たまにはあったが、

基本的に一人で聴いていた。

 

酒を飲んだり煙草を吸いながら、

集中してひたすらその音楽世界と向き合っていた。

アナログレコードではそれができた。

 

それがCDになり、ネット配信になり、

ほとんどがもうBGMというリスニングスタイルだ。

 

好きな曲を2~3曲、手を止めて聴くこともあるが、

レコードを聞いていた頃の感覚とはほど遠い。

 

実はCDに移行した後も、

200枚くらいのレコードを引っ越しのたびに持ち歩いていた。

 

20年以上も聴いてないのにずっと持っているのはどうもなぁ、

部屋も手狭だしなぁと、、

7年ほど前に処分することを思い立った。

 

某レコード店に何度か通い、大半を売りさばいたが、

話によると、その頃は最もレコードが不人気だった時代に

合致するらしい。

 

次いで3年ほど前に、義弟がコレクターになり始めたので、

残りは彼に譲ることにした。

 

以前、父の職務室兼応接間だった実家の一室が、

今では彼のご自慢のオーディオルームに変貌し、

棚にどっさりアナログレコードが収まっている。

 

そのうちの百枚ほどが自分の人生の半分を

連れ添ってきたレコードだと思うと、なんだか不思議な気分になる。

 

しかし、それでもまだ最後の10枚ほどが手元にある。

思いがけず、仕事で再びレコードの世界に入れるとは・・・

人生、面白い。

割と自分思い通りになるものかも知れない。

 

というわけで、最近のアナログレコード事情を

勉強し始めたところです。