サスティナブルなゲゲゲの鬼太郎

 

6月ごろから気になっていたが、

なぜだか今年の熱中症予防の啓蒙ポスターは、

「ゲゲゲの鬼太郎」だ。

 

僕らの子どもの頃のマンガヒーローが

軒並み廃れた中で、

唯一、鬼太郎だけは生き残っている。

 

祖先の霊毛で編んだちゃんちゃんこのおかげか?

 

かつては端役だったねこ娘は、

ほとんど鬼太郎と肩を並べる主役級。

 

原作では興奮すると、口が耳まで裂けて、

まさしく化け猫といった強烈キャラだったが、

すっかり洗練されてお嬢さんっぽくなった。

 

いまや、ネコは怪談話の似合う怪しい動物でなく、

可愛い女の子の化身のような存在である。

「ねこ娘」と呼ばれたら、

女の子はみんな喜んじゃうんだろう。

 

この間の日曜の朝、テレビをつけていたら

ちょうど「鬼太郎」をやっていた。

 

主題歌は変わらないのだが、歌っているのは

なんと氷川きよしだ。

 

内容は、ねずみ男がたまたま山の中で出会った縄文人を

SNSに載せて、いいね!をいっぱいもらってガバガバ稼ぐ。

それに対して、ブランドものに身を包み、

「オーッホッホッホ」と高笑いしている

SNSのカリスマみたいな女が対抗意識を燃やして、

なんとか縄文人をつぶして、

自分が「いいねランキング」のトップに立とうとする・・・

といった内容。

結構面白くて、つい最後まで見てしまった。

 

昔の鬼太郎は、人間を脅かしたり、社会に脅威を与える

悪い妖怪を鬼太郎がやっつけると言うのが

基本パターンだったが、

この回を見る限り、まったく逆パターン。

おぞましい妖怪は人間の方である。

 

水木しげる先生の原作の中でも、

妖怪を通して人間社会を風刺するエピソード、

科学文明を批判するエピソードがいくつもあったが、

現代ではそっちの方がメインになりそうだ。

 

まさしく鬼太郎はサスティナブルなマンガになった。