人間はきっと最期の最後まで希望を見たがる生きものだ。
ここ数年、ドラマや小説などの創作を含め、
いろいろな書き物をしてきて、そんなことを思っている。
100パーセント満足な人生だったと、こころ満たされて最期を迎える。
それが最高の幸福だなんて大うそだ。
結局、自分の思い描いたゴールにたどり着けず、
あるいはゴールを見つけられず、
目的を達成できないまま、人間的にも未完成なまま終わって良い。
僕が考え得る最高の幸福は、
最期において、心を託せる誰か――
それは子どもかかもしれないし、友だちかもしれないし、
その日出会ったばかりの見知らぬ旅人かもしれない。
その誰かが、ついに自分がたどり着けなかった、
その場所に向かって歩いていく――
その後ろ姿を見られることだ。
希望を見つめながら死んでいけることだ。
義父がどんな思いで亡くなったかわからないが、
希望を見つめて空へ向かって欲しかった。
49日の納骨を迎え、美しい夏空のもと、そう祈った。
どんなところかわからないが、
これから義父の行けなかったところへ行こうと思う。
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