「鳩がクソを垂れて飛び立つ」
これは平成の終わりとともに逝った名優、
ショーケンこと萩原健一の代表作
「傷だらけの天使」の第1話の冒頭にあるト書きだ。
あの名作はこの1行から始まった。
この脚本を書いた故・市川森一氏は
「傷だらけの天使とは何だったのか?」と回想した際、
自分で書いたこのト書きに,
その答えを発見した、と語っていた。
「鳩=平和のシンボル。
傷だらけの天使とは、1970年代の平和と繁栄の“クソ”だったのだ」
今日、仕事(三田の方で取材があった)で
久しぶりに田町駅で降りたら、
三田方面に向かうペディストリアンデッキの手すりの上に、
あまり美しくない鳩がズラリと居並んでいた。
女の人などは、汚いものを見るようにイヤ~な顔をして通り過ぎていく。
鳩が平和のシンボルだと言われても、
今や「?」の人が多いのではないか。
僕たちは平和にも繁栄にも慣れ切ってしまっている。
でも、巨大なビルが立ち並び、
あまり人が始終行き交う大都会の真ん中で、
僕たちのようにあまり美しくもなく、強くもなく、特別でもなく、
もちろん偉大でもない、平々凡々とした鳩たちが、
わやわや集まって仲良く生きている光景を見たら、
やっぱり平和とはいいものだよなと思った。
PEACE。
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