彼女が遺体安置所を訪れると「おくりびとが来た」
と人々がどよめいた。
この本と出会ったのは、震災から3年くらい経ったころだ。
女性納棺師である笹原留似子さんが被災地を回って
300人以上の遺体を復元した。
もちろんボランティア。寝るのは車の中。
1日の終わりに、その日、復元した人たちの顔を思い浮かべて
スケッチとメモを残していた。
それがどういう経緯でか、翌年の夏、
ポプラ社から絵本として出版された。、
僕がこの本と出会ったのは、それからまた1年くらい経ったころだ。
彼女の簡素な絵と言葉が、現場の状況と
人々の感情を描き出していて、胸に迫ってくる。
どうしてこんな仕事ができたのか?
この時、彼女の手には神様が降りていたとしか思えない。
3・11の記憶を後世に伝えるとともに、
納棺師という仕事の尊さ、
ひとりひとりの心に寄り添う仕事の重さを
普遍的に伝える本。
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