
人生は思いのほか短い。
折り返し地点を過ぎると、そのスピードは倍速になる。
やはり40歳あたりがミッドポイントで、自分のことを振り返ると「健やかに中年」と、年賀状に大きく書いて宣言したことを憶えている。
そして、その宣言とともに25年間吸っていたタバコをやめた。
「酒、タバコ、やめて100まで生きたバカ」を目指して人生の復路を走りながら頭に浮かぶのは、ゴールする前に何を食べるのか――最後の食事は何がいいのかということである。
これまでおかずのことばかり考えていたが、先日、いや、これはおかずではないな、ということに気が付いた。
お米のごはんだ。
雪のように真っ白な、炊きたてのホカホカの極上のごはんだ。
それだけ。
味噌汁くらいはついていてもいい。
またはバリエーションとして、そのごはんで握ったおにぎりがあってもいい。
それだけだ。
そう思いつくと、これぞ日本人の正しい「最後の晩餐」だと疑えなくなってきた。
まぁ、食い物に正しいも間違ってるもないんだけど。
人間は真っ白で生まれて、真っ白で帰っていく。
これは美しい。
でも本当にそうなるかどうかは、タイムマシンで、未来の、死ぬ間際の自分に会って聞いてみないとわからない。
ちなみに酒はまだやめてないし、100まで生きるかどうかも当然わからない。
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