むかし勤めていたロンドンのレストランスタッフの同僚にNoelというフランス人の女性がいた。
Noelとはフランス語でクリスマスのこと。
つまり「クリスマスちゃん」である。
普段はElisabethと名乗っていたので、僕らもそう呼んでいたのだが、何かのきっかけで本名がわかった。
べつにからかうつもりもなく、本名を呼ぶんでみたら「やめてー」と、嫌がった。
日本でいうキラキラネームに該当するのだろうか。
彼女は僕より少しだけ年上だったので、たぶん当時26~7歳だったと思う。
子供の頃やティーンエージャーの頃ならともかく、大人になって「クリスマスちゃん」なんて呼ばれるのは恥ずかしかったのかもしれない。
彼女には同じレストランの調理助手のバイトをやっていたニキ君という日本人男性と恋仲で、僕が来て一年しないうちに、二人でフランスで暮らすと言ってやめて行った。その後のことはわからない。
そんなに美人というわけではなかったけど、彼女のことをよく覚えているのはその声だ。
フランス語なまりの英語ってこんなに素敵なのかと思った。
日常会話がすごくロマンチックなものに聞こえるのだ。
フランス人の話す英語はみんなこんな感じなのかなと思ったけど、その後にもフランス人の女性が入ったが、そっちの彼女のは全然ちがっていた。
Noelの話す英語は特別にすばらしかったのかも知れない。
フランス万歳。
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