トキワ荘通りにある南長崎花咲公園。
そこに2020年3月に「マンガの聖地としまミュージアム(仮称)」として復元されるトキワ荘。
その費用の一部をクラウドファンディング、つまり寄付で賄うと言う。
当初は、総費用9億4千万円のうち1億円を、という算段だったそうだが、その人気は目を見張るものがあり、今年10月にはすでにその目標額の7割以上をクリア。
「これはイケる」と思ったのか、豊島区は目標額を2億8千万円に上方修正したと言う。これだと総費用の4分の1を寄付で賄えることになる。
まずここまではここまではいいことづくめ。
着工は年明けからか。
これからオープンまでは話題が絶えないだろう。、
その日が来るまで、夢が実現するまでは、みんなドキドキワクワクするからね。
問題はできた後だ。
超情報化時代の今日、新たに生まれたコンテンツの情報はあっという間に消費される。それでなくても、トキワ荘のストーリーは、これまでもさんざん表舞台に上がり、かなり多くの人がもう知っている。
建設の前から難くせをつけるようで申し訳ないが、賞味期限がそんなに長いとは思えない。
完成~オープン予定の期日を見れば、東京五輪の開催時期に合わせていることは明らか。外国人のマンガ・アニメファンを取り込もうという思惑があるようで、実際、そういう広報も行っている、
日本人のマンガ好きはトキワ荘に思い入れが深いかも知れないが、外国人はどうか?
失礼ながら、手塚治虫先生以外はそんなに海外にその名が轟いているとは思えない。
この先生たちが遺したものがいかに偉大な功績かを理解してもらうには、相当な工夫が必要だ。
また、その前に日本の若い世代がトキワ荘=マンガの聖地であることをどれだけ認識しているか? はなはだ疑問なのである。
あと気になるのはこの公園のこと。
代々木公園、井の頭公園、和田堀公園のような広い公園ではない。街中でよく見かける児童公園だ。
今あるようなちょっとしたモニュメントなら問題ないだろうが、アパート一棟分だ。おそらくこの公園の大部分は潰れてしまうだろう。
見たところ、この近辺では唯一の公園で、子供たちの遊び場、お年寄りの憩いの場になっている。
みんながマンガファンでトキワ荘の価値を認めているわけじゃないので、なんでそんんなボロアパートのために大事な公園を潰すのか、納得できない人も多いだろう。
どうやら豊島区が代替公園を作ると言うことで話は決着したらしいが、そこまでリスクを負って9億ものお金をかけるのだから、本当に意義あることをやらないと地域の人たちの不満はずっと残る。
箱を作ってミュージアムとしてあれこれ展示しても、オープン時は賑やかだろうが、オリンピック・パラリンピックが終わる頃にはもう人は離れているだろう。
最初からそれを覚悟して、飽きられたころに始まる企画――月並みなところではマンガ塾とか――をいくつも用意しておき、どう活用するのか、この地域の資産・トキワ荘のマンガ家たちの偉業が未来に繋がっていくのかを世の中に向かって考え、表現していかないとダメだろう。
でなければ集まってくるのは、昭和レトロを愛する懐かし好きの年寄りばかり、ということになりかねない。
楽しみにしているだけにちょっと心配。
10年後・20年後を想像して、レジェンドの殿堂を築いてほしいなぁ。
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