12月になって新しい年への期待が高まる。
しかも来年は天皇が交替し、新しい元号になる。
昭和から平成に変わった時は、確かに変わった。
世の中の空気の流れが変わったのだ。
なのでそれを知っている中年以上の人たちは、何とか空気を読もうと思って躍起になっている。
東京オリンピック・パラリンピックも、大阪万博もその流れの中で開催される。
昭和に行われた時とは大きな隔たりがあることを誰もが感じ取るだろう。
新しい天皇の新しい元号の時代が20年になるのか30年になるのか、それ以上の長さになるのかはわからないが、一つ言えることは「人間とは何か?」を考える時代になるということである。
「サピエンス全史」や「ホモデウス」があれだけ読まれるのは、すでにそういう時代のサインだ。
一部の学者や研究者などに限らない。
女も男も、子どもも大人も年寄りも、貧乏人も金持ちも、善人も悪人も、偉い人もそうでない人も、みんながみんな、人類史的スケールで問いかける。
「人間ってなんだろう?」
すごく漠然としている。
けれども力を持つ者はその漠然とした問いかけに答えることが求められるのだ。
かつて人類が積み重ねてきた過去のデータが膨れ上がり、それを使ってAIやロボットが社会で大手を振るうようになった時、個人個人のアイデンティティの以前にある、人類のアイデンティティが脅かされる。
そうなる過程で国も企業も口をそろえて言うようになるだろう。
「我が国は人間を大事にしています」
「わが社は人間を大事にしています」
もちろん今までも「とりあえずそう言っときゃOK」という感じで、みんな言っていた。でも。これからはそれでOKではならない。
それって、どういうこと?
大事にしてるって、どう大事にしてるの?
コストカットのために従業員のクビを切ったりしないの?
派遣やバイトや外国人は差別されないの?
つっこみどころは満載だ。
国も企業もそれに応え、こんなに人間を大事にしているんです、ということを世の中の皆さんに納得して貰わないことには経営が立ち行かなくなる。
かもしれない。
これが空想か、幻想か、妄想かは、すでに来年の今頃にはその片鱗ぐらいはわかっているだろう。
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