雨が降ってすっかり季節が変わった。
そして雨はすっかり忘れていた記憶の引き出しをあげる。
たぶん中学1年の時だったと思うが、「明星」というタレント情報雑誌を購読していて、その中に編集部おすすめの映画のあらすじをマンガにして紹介するというコンテンツが載っていた。
その一つに、「裸身を雨にさらす少女」の映画があった。つまり女の子が裸で雨に打たれるのだ。
それも森の中の草むらのようなところで寝そべって。
マンガの絵柄のせいか、西洋人だからか、顔つきも体もずいぶん大人の女に見えたけど「少女」という言葉が
これだけ書くとずいぶんエロチックな映画のように思えるが、けっしてそうでなく、全体はちょっとアートの匂いがするような青春恋愛映画といった感じ(と、僕の頭の中ではそうなっている)。
この雨と裸のシーンも何か若い女の神秘性みたいなものを表現していたような気がする。
マンガの絵柄のせいか、西洋人だからか、顔つきも体つきもずいぶん大人の女に見えたけど、ナレーション的な文章に「少女」という言葉が入っていたので、たぶん16~7歳くらいの設定だったのだろう。
穢れを洗い流しているとか清めているとかいう感じで、けっして悲壮感はなく、むしろ愉しんでいるようにも見えた。
だが、いったいどういう文脈で、どういう感情の表出で彼女がこうした行為に及んだのかはわからない。
ただ、そこに父親くらいの年齢の男が現れ、その男は悪さをするどころか、彼女に服だかタオルだかを黙ってわたす。見開きでそんな展開思う。
確か主人公は若い男だったので、この少女をめぐってこの年配の男と三角関係になる・・・というストーリーではなかったか。
とするとツルゲーネフの「初恋」みたいな話だったのだろうか。
このシーンと全体のイメージだけは憶えているのだが、今となってはなんて映画か題名も内容もさっぱりわからない。
そもそも実際に映画を見たわけじゃなくて、あらましを描いたマンガを見ただけだし。
1972年か73年くらいに日本で公開されたアメリカ映画かフランス映画だと思うが、もし誰か知っていたら教えて下さい。
それにしても引き出しにはいろんなものが入っている。
40年以上思い出したことなんてなかったけど、憶えていたということは、マンガとはいえ、中1の小僧には相当刺激的だったんだろうなぁ。
この頃は雨もパニック映画さながらすっかり情緒がなくなって危険なものになってしまったけど、夢を育てたり、記憶を開かせてくれるようなやさしい恵みの雨を降らせてほしい。
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