山中の孤独な夜の過ごし方

 

 1~2歳の子供には大人には見えないものが見えるらしい。

 山口県周防大島町の山中で行方不明になっていた男の子は三日間、夜をひとりでいったいどうやって過ごしていたのだろう?

 

 暗黒の中の孤独。

 たぶんおとなでも三日も続いたらおかしくなってしまうような状況だ。当然、必死で叫ぶだろう。

 もうちょっと大きい子供でも泣いて誰かを呼ぶだろう。

  

 でも彼は泣き叫んだりしなかったようだ。

 山の精霊が彼のところにやってきた。

 時間を忘れていっしょに遊んで、結構楽しかったのかもしれない。

 その友だちがヘビやイノシシなどから守ってくれていた。

 

 へたをしたらそのまま精霊のところへ連れて行かれてしまったかもしれないけど、絶好のタイミングであのボランティアおじさんがやってきてくれた。

 

 それとも、あのおじさんが来るのを知っていて、精霊のほうがそれじゃこれで、と帰って行ったのかも。

 おじさんはそれをキャッチしていたからすぐに見つけられたのかも。

 

 いずれにしても二人のチューニングが合っていて、男の子は無事、人間の世界にもどることができた。

 世の中は不思議なことがいっぱいある。