土日の新潟遠征で泊ったのは、駅から歩いて5分の、新潟なのに「京浜ホテル」という、どこにでもあるようなフツーのビジネスホテルでした。
フツーと言っても、21世紀型のモダンなフツーではなく、建設された昭和の後半には、新潟へきてバリバリ働くビジネスマンが明日への英気を養う、最新の「東京に負けないくらいナウい」ホテルだったのかもね~といった匂いが漂う、本当によくある、シングルベッド、ユニットバス、テレビ付きのホテル。
のはずだったのですが、日曜日の朝食でその印象がガラッと変わりました。
う、うまい!
魚沼産コシヒカリの和朝食だ。
炊き立てではないが、降り積もった雪のよう白くピカピカ光っている。
久しぶりに「銀シャリ」という言葉を思い出しました。
生卵をかけて一杯、納豆かけて一杯、あちこちおかずと一緒に一杯。
まだいけそうだったけど、これから仕事があるのにあまり腹いっぱいになってはいかんぞ、と抑えました。
恐るべし、魚沼コシヒカリの魔力。
すっかりご機嫌になって、食堂のおっちゃん・おばちゃん(たぶん夫婦だと思う)に、フロントのお兄さん・お姉さんに「おいしかった。ありがとう」と愛想を振りまいてしまいました。
「ああ、そうだったのか」と、写真のポスターを見たのはその後。
ごはんがおいしいとホテルの印象も変わります。
何の変哲もない古ぼけたビジネスホテルが、新潟のオンリーワンホテルに見えてきた。
当初の印象とのギャップ効果もあって、古ぼけ感も、おしゃレトロとまでは言わないけど、何やら味わい深く感じ、永く思い出に残るだろうなという気持ちになるのです。
そこでハタと考えた。
しかし、僕が普段から魚沼コシヒカリを食べなれている人間だったら、ここまでの強い印象を抱くだろうか。
ヘン、魚沼コシヒカリなんて、わしゃ毎日くっとるでよう、別段、感動なんかせーへんがや。
とクールに流し、おっちゃん・おばちゃんや、兄ちゃん・姉ちゃんに愛想を振りまくこともなかったでしょう。
京浜ホテルが味わい深いホテルだと感じることもなく、永く思い出に残ることもなかったに違いない。
そう考えると、人生と言うのはちょっとした条件の違い、ささいな感じ方の違いでまったく違ったものになってしまう。
いつでも(俗にいう)美味いものを食っている人が幸福だとは限らない。
もちろん、そうした人にとって、京浜ホテルに人生の醍醐味を感じるかどうかなんて、とんでもない低次元の問題で、はるかな高次元の幸福を追求しているのでしょうが。人類全体のとか、地球全体のとか、ね。
いずれにしても、今や海外のセレブも認める最高級ジャパニーズライスブランド、魚沼コシヒカリは美味しかった。そして京浜ホテルとのギャップもよかった。
どうもごちそうさま。
コメントをお書きください