この季節になると、どうしたって来年の運勢が気になるのが人情です。
運の良し悪しは人生を大きく左右します。
子どもだってそれは同じ。
てか、そういうことには実は大人よりもうんと敏感に神経をとがらしている。
自分にはどんな能力があって、どう生きていけるのか。
特に小学生はめちゃくちゃそういうことを気にしていて、悲しいかな、10歳を過ぎるころには自分の力の限界をある程度知ってしまう。
ケンカでもスポーツでも勉強でも、自分がどれくらいのレベルにいるのか、ある程度見えてきてしまいます。
子供の夢は無限だなんて、無責任に大人は言うけど、そんな話を真に受ける子どもは、せいぜい小1くらいまででしょう。
サンタって本当は・・・と言いだすのと同じくらいでしょうか。
もちろん「自分はこの程度か」と悟った後から本当の勝負が始まるわけだけど。
なので、じゃあ運はどうだ?となる。
僕の愛読書の一つ「少年アキラ」(ゆうきえみ:作)はそれがテーマです。
時代設定ははっきり示されてないけど、どうやら昭和40年代後半(1970年代前半)あたりの、どこかの街。
なんとなく「ちびまる子ちゃん」と共通する世界観です。
ガキどもが学校帰りにたむろする駄菓子屋に、秋のある日、ドドン!と「金くじ」なる黄金の福引みたいなくじ引きマシンが出現。
子供らは夢中になり、一等の超合金ロボットを手に入れるために命を懸けてくじ引きに挑むという物語です。
主人公のタカシはちょっと気の弱い、あんまり運も良くなさそうな男の子。
それにタイトルにもなっているアキラという、ちょっとワルっぽい転校生が絡み、友情のような、そうでもないような関係になっていく。
なんとか一山当てて逆転を狙う、うだつの上がらないチンピラコンビみたいにも見えます。
出てくるのはなぜか男子ばっかり。
こういう非合理なことにエキサイトするのは男の専売特許ということでしょうか。
作者のゆうきさんが女性なので、バカバカしいことに血道を上げる男の気質に憧れるのかも。
「命を懸ける」というのは、けっして大袈裟な表現ではありません。
大人にとっては「そんな下らないことやってる暇があったら勉強しろ」とい
うようなことも、子どもにとっては自分に未来があるかどうか確かめる大きなイニシエーションのようなものだったりします。
それぞれの家庭の事情なども描かれ、物語に陰影をつけているけど、主軸はタカシやアキラをはじめとするしょーもないガキどもと、その前にぬりかべのように立ちはだかる憎たらしい駄菓子屋の親父との対決。
しかし、クライマックスでその対決が劇的に転換し、何とも言えない切なさとなって胸にしみこみます。
ああ、こうやって僕たちは子供時代をサバイバルして来た。
こうやって挫折の痛みに耐えるために心に鎧を着こむことを覚えてきたんだなぁとしみじみ。
児童文学だけど、大人が読むと全然違う楽しみ方ができると思います。
福島敦子さんの絵も絶妙な味があって、アキラの表情など歪んでて邪悪で、それでいて三下のヘナチョコっぽくて、好きだなぁ。
でも自分は運がいいのか悪いかなんて、実は最後の最後まで分からない。
けどそれも、何とかカッコだけは大人になって、ここまで生き延びてこられたから言えることなのかも知れません。
いずれにしても皆さんも僕も、新年が良い年になりますように。
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