義弟のアナログレコードと、帰ってきたカレン・カーペンター

 

  30余年前、これからの音はデジタルですよ~!と刷り込まれて、世の中に一気にCDが普及しました。

 そうか、レコードの時代はもうおしまいなんだ~と思いつつ、中学生の頃から約10年余りにわたって集めてきた200枚のレコードを捨てるに捨てられず、段ボールに詰めて押し入れに封印。

 

 今の家に引っ越してから備え付けの棚があるので、それらを出して並べるだけは並べていたけど、結局、聴かないので5年程前に一念発起してだいふ売り払いました。

 

 それからほどなくして少数のマニアのみならず、若者の間でもアナログ人気が高まり、盤もプレイヤーも針も再生産され始めたといいます。

 もはや恐竜のごとく、絶滅の道をたどるのみ・・・と思い込んでいたのに、世の中、何が起きるか分かりません。

 

 それでこの夏、義弟がプレイヤーを買い込み、アナログレコードを聴けるシステムを設えたというので、手元に残っている50枚余りのレコードの何枚かを手土産に実家へ。

 

 アナログ音を愛する人たちのマニアックなうんちくはよく耳にしますが、「百聞は一聴にしかず」。

 義弟にCDとレコードの聴き比べをさせてもらいました。

 

 試聴したのはカーペンターズの「ナウ・アンド・ゼン」から、かの名曲「イエスタデイ・ワンスモア」。

 CDの音が締まってタイトな感じがするのに比べ、レコードの方は柔らかく、のびやかな感じ。

 この曲の持つ清々しさと甘い感傷を際立たせ、ラジオで初めて出会った時のカレン・カーペンターの声により近いのは、やっぱりアナログかなぁと思います。

 

 でも、それは音の問題だけだけじゃなくて、でっかいジャケットを見開きで楽しめたり、黒い円盤がクルクル回っているビジュアルも脳に影響しているせいかも知れません。

 

 ここ30年余りはCDで、最近はもっぱらパソコンで音楽を聴いていますが、若い頃、何千時間と聴いたアナログレコードを聴くスタイルは、身体の芯まで染みついているんだなぁと実感。

 まさにイエスタデイ・ワンスモア。