印刷の仕事をやっているIさんの住む初台・幡ヶ谷のあたりはお祭りが盛んな町です。
新宿からすぐの町だが、BigCityのお膝元にも関わらず、下町情緒があるのです。
それは地元の商店街に元気があるから。初台には都内では高円寺に次ぐ歴史を誇る阿波踊りがあるし、Iさんの町会だか商店会でもでっかいお神輿が出動。町会だか商店会の役員でもあるIさんも、もちろん参戦しているそうです。
このIさんが所属するのは「青年部」。彼は僕より少し上で、間もなく60に手が届くところ。いわゆる「アラ還」――around還暦です。
これは特別なケースではなく、日本全国どれくらいこうした町会・商店会があるかは知りませんが、そのほとんどが同じような状況。町会・商店会では40代・50代・60代まで行っても「青年」なのです。
要はそれだけ構成メンバーがハンパなく高齢化しているということで、会社を定年退職する齢(普通、メンバーは自営業の人がほとんどなので定年退職というのはないのですが)になっても「青年」という時代になってしまった。
仕事をリタイアしたら社会に、地域に貢献しよう、ということはだいぶ前から言われてきましたが、そこにはどこかで悠々自適の生活になるのだから、その余裕の範囲でやろうね。それがあなたの生きがい、あなたの新しい存在感になるのだから――といった、わりと悠長なニュアンスが含まれていたような気がします。
けど、そんな余裕のある人は今や少数派ではないでしょうか?
Iさんも夜、アルバイトをしながら、その役員の仕事をしているので、なかなか大変そうです。
地域貢献、社会貢献、リタイア後の生きがい、新しい存在感――それらはもちろん大事なのだけど、これからの時代の高齢者(60代はまだ高齢者と呼ばない?)は、まだまだ生活に必要なお金、食い扶持を稼ぐ必要もある。それもかなりシリアスに。
そうした状況と、どう折り合いをつければいいか、僕も含め、生活者全般の大きなテーマになりそうな気がします。
かつては還暦を過ぎれば人生のまとめを考える年代でしたが、今やまだ道半ば。
へたをすれば、ゴールよりもスタートに近いポイントだったりして。
そういう意味での青年は、「わくわく」もするし、「やれやれ」とも感じます。
若造でいられるのは良いことか、悪いことか。
まだまだ心も体も鍛えなくてはなりませぬ。
そういえば、今年はまたお神輿担げるなぁ・・・。
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