●でめ金がない
友だちとメールでやりとりしていて「でめ金がない」というセリフを送ってきたので、「デメキン? 金魚すくいに行きたいの?」と返しました。
気が利かないやつなので、まともに「『でもカネがない』って書いたんだよ」と返してきましたが。
そんなわけで、そのメールを見たら、頭の中に出目金が現れ、泳ぎ出しました。
僕には出目金の思い出がある。
ひらひら尾びれをゆらめかして金魚鉢の中を行ったり来たりしていた黒い出目金。
子供の頃、出目金に対して最初に抱いた疑問は、なんで他の金魚は赤いのに出目金は黒いんだろう? でした。
なぜか、なんで目が飛び出しているんだろう? という疑問はあとから出てきた。
●金魚のフリークス
それで金魚の図鑑を調べたら、出目金だけじゃなく、ヘンな金魚がいっぱいいる。
リュウキンなんかはあちこちのヒレがやたら長くてゆらゆらしていて、それなりにきれいだと思ったけど、背びれがなくてブヨッとした体形のランチュウとか、頭にイボだかコブみたいなものをいっぱいくっつけているオランダシシガシラなんてのは、どうみても気持ち悪い。
出目金も含め、どうやらこのへんのやつらは自然発生したんじゃなくて、人間の手で作られたらしい。
なんでこんなヘンなサカナを作ったんだろう? と、ふくらんだ疑問に対して自分で見つけた答は、みんな赤いフツーの金魚(和金)ばかりじゃ、金魚すくいをやっても面白くないから――ということで、お祭りの金魚すくい屋が、もっとお客を呼ぶために、いろんな変わった金魚を創り出したのだ――というものでした。
●金魚すくいの出目金
もちろん、そんな気概のある金魚すくい屋はいないし、ランチュウやオランダシシガシラは希少価値のある、高価な金魚なので、金魚すくいなんかに使えない。
でまぁ、赤い和金とのコントラスト――いわば賑やかしのために、黒い出目金が「変わり者代表」として、金魚すくいの舞台で活躍することになったわけです。
概して子供は目のデカい生き物が好き。
だから出目金も人気がありました。
僕も金魚すくいに行くと、たいてい出目金を狙っていました。
からだが大きめで、なんとなく動きがほかの連中よりのろく、からだも大きめなので、カンタンに救える気がするのですが、そう甘くはありません。
それでもがんばって何匹かすくって、家に持って帰って飼うんだけど、出目金はなぜかみんな早死にしちゃうんだよね。
目玉が飛び出しているので、ケガをしやすいと本に書いてあったけど。
●「でめきんちゃん」のこと
ついでに――とう言っては失礼だけど、もう一つ思い出したのが「でめきん」というあだ名の女の子がいたこと。小学校の同級生でした。
目が大きく、ちょっと出っ張っていて、まぶたが脹れぼたかった。
それで、でめきん。
僕はべつに特別な感情を持っていたわけじゃないけど、彼女とは同じクラスの同じ班になったり、そろばん塾でもいっしょだったりしました。
どっちかというと真面目でおとなしい、目立たないタイプで、べつだん愛嬌のあるキャラではありません。
それなのに顔の特徴の一部をあげつらった、そんなあだ名をつけられて、さぞや不愉快・不本意だったと思います。
なんと言っても女の子だなんだからね。
僕もいま思うと、申し訳ないことしてたな、と反省しきり。
最近はもう少しまともなのかも知れませんが、その時分の小学生の男のガキどもは、まったくそういうところにはデリカシーのかけらもありませんでした。
でも、彼女は確か卒業文集の自己紹介の「あだ名」を書く欄で、ちゃんと「でめきん」と書いていた。
不本意・不愉快ではあったけど、受け入れていたということなのか?
それとも、あだ名がないよりはあったほうがいいと考えていたのかなぁ?
いずれにしても小学生とは言え、もう高学年だったので、容姿のことは気にしていたと思うけど、その後どうしたのだろう?
まだ子供だったから当然、大きく変わっているでしょう。
あの頃のバカ男子どもの目玉が飛び出すほどの美人になった、という可能性だってあり得ます。
どんな人生を辿ったのかはわからないけど、いずれにしても幸せになってくれているといいなぁ。
・・・と、少しでも罪悪感を感じないですませたいので、そう願います。
●でめきんの顛末
メールを送ってきた、給料日前で“でめ金がない”、しょーもない誤字メールを送ってきた友だちとは会って、昼飯をごちそうしました。
せっかくなので魚メインの定食屋へ。
しらす丼とまぐろメンチカツ定食。
カマスの塩焼きとさくらエビ入りコロッケ定食。
つごう1,820円なり。うまかった。
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