息子が「スチームパンク」なるものに凝っていて、ちょっと話を聞いたら面白い。
SteamPunkとは蒸気によるテクノロジー、つまり19世紀の産業革命時代の技術がそのま進化した世界=架空の物語世界の概念。
創始者はかつて「ニューロマンサー」で「サイバーパンク」なる概念を生み出したSF作家・ウィリアム・ギブスンで、もちろんこれはサイバーパンクをもじった造語。
アニメや漫画やファッションの分野では、割と以前から一つのジャンルを形成しており、人気が高いようです。
そういえば数年前に、大友克洋の「スチームボーイ」という映画をやっていたっけ。
僕が面白いなと思ったのは、こうした物語世界にはまる多くの若い連中が、近代社会の始まりとなる19世紀の西洋文化に強くインスパイアされているということ。
現代を産業革命以降の「人間VS機械文明」の時代の最終章、あるいは石油などの地球資源使い放題の大量生産・大量消費時代の集大成と捉えるのなら、こうしたカルチャーが開花するのはとても興味深い現象です。
もちろん、これは一種の遊びなので、スチームパンク現象に高邁な思想やら哲学やら未来学やらが盛り込まれているわけではありませんが、何か匂いがする。
ネジや歯車など、コンピューター以前のアナログなマシンの持つ質感の魅力。
バーチャルなものに生を支配されてしまう事に対する怖れみたいなものが、若い連中の心を引き寄せるのかもしれません。
これに関連しているのか、ジュール・ヴェルヌ(海底2万里)、H・G・ウェルズ(透明人間/タイムマシン)などの古典SF、さらにはカレル・チャペック、アイザック・アシモフのロボットものなども復活しているとか。
子供らといっしょに現代からの視点で、こういう古典を再読し、近代社会・近代思想について学習しなおすことも必要だなと思っています。
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