●これが未来の定食屋?の画期的システム
神保町に「未来食堂」というところがあって、革新的な定食屋として話題を集めています。
メニューは日替わり定食1種類だけ。
しかし、それにプラス400円で、お客が自分の好きなものをオーダーし、いわばカスタムメイドの定食にできる「あつらえ」というシステムがあります。
また、お店のお手伝いをすると一食ただで食べられるという「まかない」のシステム、さらにその「まかない」をチケットにしてお店の外に貼っておき、お腹をすかせた通りすがりの旅人が、自由にそれを使えるというシステムもあるとか。
画期的というか、面白いというか、まさしく飲食業界の常識をひっくり返している。
もちろん慈善事業でも何でもなく、ちゃんとビジネスとして成立し、黒字経営ができているとのこと。
なんか独特のストーリーがある定食屋さんだなと感じます。
オーナーで店主の女性は、もとITエンジニアで、以前はクックパッドで仕事をしていたそうです。
なんか納得してしまう。
そして、そうか、これが「未来」か、と大きくうなずいてしまう。
●接客はコンビニのように
こうしたお店なので、さぞやお客さんと和気あいあいという感じでやっているのだろうと思いきや、彼女は接客に関して、「コンビニのような接客をしています」とテレビ番組のインタビューで応えていました。
じつはこれが僕が最も興味をひかれたところ。
家族のような、ヒューマンタッチの人情にあふれた食の風景ではなく、そこにあるのはクールで、半ばマニュアル的とも言えるコンビニ風の接客。
そうしたベタつかない、さっぱりした関係が彼女の理想たと言います。
それにはちゃんと理由があって、
常連客と店のスタッフの距離があまりに近く親密だと、初めて来た人や、たまにしか来ない人たちは気後れしてしまう。
足しげく通っていた時期もあったが、たまたましばらく来られない時期が続くと、なんだかバツが悪くて、来たくても以前と同じように顔が出せなくなってします。
好きなお店に対するお客の心理って、けっこうビミョーです。
そうしたよけいな気遣いをしなくて済むよう、どんなお客でも、ほとんど差がないよう、コンビニのように接するのが基本だと考えている。
・・・という趣旨の話を彼女がしていて、とても感心しました。
そういえば、マンガ「孤独のグルメ」でも井の頭五郎(主人公)が、初めて入った店(このマンガに出てくる店は、だいたいどれも井の頭五郎が初めて入る店)で、やたら店主と常連客がなれ合っていて、裏メニューを出したり、わがままを聞いてやったりするのを不快がっていたのを思い出しました。
僕たちはヒューマンタッチの店が、あったかくて人間らしくて良い店だ、と勝手に思い込んでいますが、そうとは限らない。
たしかに親密さ、距離の近さが、べたつき感につながったり、うざく思える時がある。
もちろん、そういう世界を求める人は求めていいのだけど。
おみせの立場に立った場合、ビジネスでやる以上、自分の姿勢ははっきり打ち出さないとね。
特に飲食の世界では、自分は顔が効くということを自慢し、店側に甘えたがる人も少なくないので。
●ただいま産休中
「あつらえ」「まかない」といった画期的システムに、ベタベタしたなれ合にならない、クールで確かなお店の姿勢。
「未来食堂」というネーミングがお腹の底にストンと自然に落ちます。、
最近、神保町界隈には出向いていないので、こんど千代田区方面に行くときは、ぜひ寄ってみよう・・・と思っていたら、なんと、きょうから店主産休のためしばらくの間、お休みとのこと。
がつがつ仕事するだけが人生じゃない。
これもまた新しい「未来」!
コメントをお書きください