もう15年くらい昔ですが、化粧品のコマーシャルで「美しい50代が増えると日本は変わると思う」というコピーがありました。
それは現実になりました。
べつに女優や芸能人でなくても、「美魔女」という言葉さえもう死語と思えるくらい、美しい50代の女性はごく当たりまえに隣近所にいます。
これを読んでおられるあなたもそうでしょ?
また、永ちゃんもローリング・ストーンズも60代になろうが、70を過ぎようが、いまだにロックンロールし続けています。
「あの人たちは特別だから・・・」なんて言っている人たちはもうおいてけぼりです。
彼らに倣って、(精神的な意味で)ロックンロールし続ける人は、これからますます増えるでしょう。
この数年で「若い」「老いている」という概念が急激に変化しているように感じているのは僕だけではないでしょう。
それを追いかけるように、教育や仕事の概念も大きく変わりつつあります。
伝統的で標準的なライフスタイルは、中学、高校、大学、または大学院まで、つまり最低15歳まで、上は20代半ばまで教育を受け、その後、社会人として40年余り働き、その間、結婚して子供をもうけ、60を過ぎたところで引退するというものでした。その後は「余生」。70、80まで生きても、それは一般的には「おまけみたいなもの」とされていました。
このライフスタイルは、教育・労働・引退という「3ステージの人生」。19世紀の産業革命―ー工業化の時代に確立されたもので、この200年前の欧米由来のライフスタイルを基準に、明治以降のに日本社会も構築されてきたわけですが、この鉄板だった3ステージの人生がもう機能しなくなる。
今後、多くの人は100年の寿命を前提に、「マルチステージの人生」――教育のステージと労働のステージは何度も交互に訪れ、引退というステージは半ば消失する――を生きることになる。
そこでは、エイジAge(年齢)とステージStageはイコールにならない。何歳からでも新しいステージに立つことができ、常に変身しながら生きることが求められる。
というのが「LIFE SHIFT」で書かれている内容です。
誤解のないように言い添えると、これは中高年向けに「いつまでも若々しくあろう」と鼓舞する精神論や、「若さを保ち、成功へつなげる秘訣を伝授する」といった類のハウツー話ではありません。
もっと根本的な、人生のパラダイムシフト(人生全体、社会全体の価値観の劇的変化)についての論考です。
加えていえば、盲目的に、何の疑問もなく、数年先の進学・就職を考えている子供・若者にこそ読んでほしい、これからの人生のコンセプトを形成するための指南書です。
「おとなと子供」――その概念も変わります。
著者であるロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授は、これ以前に「WORK SHIFT」「未来企業」といった本を出しており、仕事・労働と人生論を展開してきましたが、「LIFE SHIFT」はそれらの実績をさらに昇華させた、とりあえずの集大成という感じです。
経済学・心理学・社会学を中心とした豊富な資料と、様々な学生や企業家などとの議論を通して練り上げた研究成果は、凡百のビジネス書・自己啓発書をはるかに凌駕する内容です。
と言って、別に難しいことが書かれているわけではなく、仕事のこと・社会のこと・家族のこと・人生のことに多少なりとも問題意識を抱えている人なら、誰でも興味深く読めると思います。
僕も「日本語版への序文」と題された最初の10頁を読んだだけで、すっかり引き込まれてしまいました。
そして読み進むうちに深い共感、期待感、エキサイティングな気持ちと同時に、本当に自分はもつのか、やっていけるのいか・・・という、慄きの気持ちも同時に抱きました。
ここで示されているヴィジョンを深く理解し、実践するにはどうすればよいか、日銭を稼ぎつつ、日々の雑事に追われつつ、そこを考えるところから自分にとっての新しいステージは始まると思います。
1ヵ月ほど前に読んで、まだ完全に咀嚼できた感がないのですが、60代で孫ができて、ますますロックンロールしてきた三浦氏にFBで紹介されたので書いてみました。ありがとう三浦さん。皆さんもぜひ読んでみてください。
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