宅配便問題:インターネットハイウェイはロボット社会へまっしぐら

★ドライバーはひとり四役

 

 宅配便の問題をめぐるニュースを見ていると、インターネットのハイウェイははまっすぐロボット社会につながっているぞ、と感じます。

 

 現場を知る者にとっては、やっと改善の時が来たか、という感想。、

 要再配達の品物は、現場の用語で「持ち戻り」というけど、印象としては毎日1割以上はあります。(報道では2割以上。地域差があるので、全体として見たらまあそれくらいはいくかも知れないと思う)。

 

 SD(サービスドライバー)は、運転、力仕事(荷物の中には30㎏におよぶ米とか、20ℓ以上におよぶペットボトルの水だとか、家電製品、機械の部品、タイヤなどもある)、接客業、事務処理と、一人四役をこなさなくてはなりません。

 

 朝8時に営業所に出勤して、最終の配達は夜10時までかかる。

 最初のうちは、昼・夜のシフトに分かれているのだろうと思っていたけど、基本的には一人のSDが丸1日、受け持ちの地域を回っています(週に1度くらい分かれていることもある)。

 

 正確な勤務体系は知らないけれど、それが結構、連日あって、休みはおそらくせいぜい週休二日程度。相当なハードワークです。

  

 時間指定がありながら留守だったりすりゃ頭に来るのは当然。

 

 

★膨大な人力の上で成り立つネット通販事業

 

 話はSDに限ったことでなく、それにプラス、集積センターなり、地域の営業所には、仕分けスタッフや事務処理スタッフなど、宅配便には膨大な労働力が投入されているのです。

 

 

 ネット通販の場合、利用する側にとっては、スマホやパソコンの1~2秒の操作一つで、家まで欲しい物を持ってきてくれる。

 中にはアマゾンなどの通販会社から自動転送されてくると思っている人もいるでしょう、きっと。

 

 その裏にそれだけの人力が必要とされているなんて、夢にも思わない。

 

 ちょっと前まで報道は、ネット通販企業のアイデア、システム、サービスを絶賛していました。

 よくぞこれだけのものを考え出し、実現した。えらい!  インターネット\(^o^)/と。

 

 が、それは宅配便システムというインフラ、さらにそれ以前の道路・交通網、輸送車両の充実という大前提があってこそ成り立つ話です。

 

 

★めんどくさいからロボットにして・・・と思うでしょ

 

 インターネットの普及したデジタル社会は、プロセスが見えず、スタートポイントとエンドポイントしか見えない点の世界。

 どんどん周囲の人間に対する想像力が失われていく世界でもあります。

 高速道路と同じで、いったん乗ったら、降りるところまで、その旅程の景色はほとんど見られないのです。

 

 おそらく半分以上の人は報道を見て、

 「そうやな、配達の人に迷惑やな。マナーを守らなあかんな」

 と思うより先に

 「なんだよ、めんどくせえなぁ。こっちは忙しいんだよ。金払って買っているんだから、宅配のことぐらいで面倒かけるなよ」と思ったことでしょう。

 

 便利さに慣れちゃうと、人間、横着になります。

 面倒だから、宅配便なんて早くロボットがやってくれるようにならないかなと考えるようになっても、なんら不思議はありません。

 

 

 これだけ普及すると、多くの人にとって、もはや宅配便のない生活は考えられません。

 ならば現場のシステムを変えるしかない。

 ロボット技術が普及すれば、真っ先に採り入れたい事情が企業にはある。

 

 そして、おそらくそれはそう遠い未来のことではありません。

 とにかく人手不足なので。

 ネコの手もロボットの手も借りたいのです。にゃあ。