世界で一つだけの自分の言葉・自分の文章

 

 編集マン・M氏から動物病院のサイトに載せるコラム記事を書いてくれないか、という依頼がありました。

 そのサイトを見ると、院長と3人のスタッフの獣医がやっているところで、たいへん素晴らしい、充実した内容。

 ペットを飼っていない僕でも引き込まれたので、これなら飼い主さんの信頼を得られるでしょう。

 

 その分、これは安易に取り組めないな、と思いました。

 

 いちおう、犬のしつけコーチの代筆で、しつけマニュアルの本を書いたり、動物学校連盟の機関誌の記事などを書いたりして、多少はかじったことがあるものの、動物に関する習性や医療の知識など、素人レベル。

 

 そんな素人のライターが、そのへんの本やネット上から拾ってきた知識を貼り合わせた文章を載せても、共感も信頼も得られないと思います。

 

 文章のうまい・へたではないのです。

 

 この動物病院の例で言えば、現場で日々、診療にあたっているスタッフだからこそ書けること・醸し出せる味があるのです。

 それに地域情報やこの病院ならではの仕事感も感じられたので、関係のない外部の人間が1から書くのは困難でしょう。

 

 それで僕が知りたかったのは、クライアントさんは外部のライターに何を期待されておられるのか?ということ。

 

 このサイトのブログの欠点を挙げれば、更新回数が少ない。

 とても丁寧に書いてあるので、忙しい日々の業務の中、4人いても頻繁に更新するのはたいへんです。

 だいたい平均すると週1くらい。

 あいてるときは月2~3回。

 頑張っている時で週2回。

 

 それで回数を上げたいけど、人手が足りないので・・というのが主な理由だと思います。

 取材に行ければよいのですが、遠いのでそう頻繁に足を運ぶこともできず、メール中心のやりとりにならざるを得ないのは必至。

 で、「以下のようなやり方ならお役に立てるかもしれません」と返答しました。

 

●日々の医療の中で感じたこと・考えたこと・エピソードなどをもとに、それぞれの記事の企画はスタッフ自身に立てていただく。

読者に何を伝えたいかもできるだけ明確に。

 

●それをメモ書きにして送って頂く。専門的な医学知識を入れるならその疾患名・キーワードなども。独自の知見があればその説明を。一般的なことでよければこちらで調べる。

 

●いただいた企画メモをもとに、読み物として面白くなるよう、こちらで構成・肉付けを考え、文章化する。

 

 ざっとこんな感じ。

 

 僕は基本的にブログなどは、そのサイトのオーナなり、スタッフなりが自分で書くべきだと思います。

 たとえばあなたが自分の会社やお店でサイトを持っていて、うまく書けないから、ライターにアウトソーシングしたい場合は、そうすることでいったいどんなメリットがあるのか、デメリットはないのか、よくよく吟味したほうがいい。

 

 どんなに優秀なライターでも、有名な作家でも、あなた自身の発信は、あなた以上によく書けません。

 僕も4~5年前は、SEO対策として、指定キーワードを入れて、社長ブログの代筆をする・・・といった仕事をよくやっていました。

 でも、もうそんな時代ではないと思う。

 読んでいる人たちもネットリテラシーが上がって、ブログなど、少しまとまった文章なら、ヘタでも本人の書いた信頼できる文章か、他のライターが代筆した、まとまっているけどカッコだけの文章か、すぐ見破られると思います。

 

 なんだか自分の仕事を減らす自虐ネタみたいになってしまったけど、みんな、自分の言葉・自分の文章を大事にしたほうがいい。

 それを心得たうえで、どこを自分以外の人に書かせるか、考えるといい。

 

 長くなりそうなので、また明日、この続きを書きます。