たぶんマンガの影響だと思うけど、子供の頃、外国(欧米)で最高のごちそうと言えば、七面鳥の丸焼きでした。家庭で、レストランで、パーティーで、ホカホカ湯気を上げる七面鳥の丸焼きは、とにかくデカくて絵になる。
そのごちそうを実際に食べたのは、ロンドンの日本食レストランで働きながら、クリスマスを過ごした時でした。
クリスマスの2~3日前だったと思いますが、その店のヘッドシェフがスタッフミール(まかない)として企画してくれたのです。
営業が終わった夜10時過ぎ、でかでかとした丸焼きがキッチンからお目見えした時は、一同、おおっ!と歓喜の声。
日本人だけじゃなく、いろんな国籍の連中がいたけれど、七面鳥の放つ「ごちそう感」のオーラは強烈で、万国共通でした。
うかれてジングル・ベルなど歌いだす奴(僕ですが)までいて盛り上がり、一人一人に切り分けられ、特製ソースをかけて食べたのだけど・・・・
うーん、ま、こんなもんかな。
いつものまかないのほうがおいしいかな・・・・。
どうせなら、お寿司でメリークリスマスでもよかったんじゃ・・・・。
ちなみにちょうど30年前――1986年のロンドンのクリスマスは、事前はすごく盛り上がっていたけど、当日は日本の元旦状態よりさらにひどく、交通機関もろくに走っていない状態で、お店もお休み。
僕らは二駅ほど離れた仕事仲間のフラットに集まって、今度はワイルドターキーを飲みながら酔っ払っていました。
せっかくロンドンにいるのに、なんだか冴えないな~という感じでした。
クリスマスのごちそうがおいしくなかったって話だけけど、30年経って思い返すと、あの食事のシーンはなんだかすごくよかった。
あの時の仲間たちの何とも言えない、神妙な顔つきでモグモグしている姿がとてもリアルに浮かんできます。
30年経ってあの七面鳥の美味しさがじわじわきた~って感じ。
これから七面鳥の丸焼きを食べる機会があるかどうかはわからないけど、あの味は一生に一ぺんのものだと思います。
チャンスというのは一生にそう何べんもあるものじゃありません。
希少な体験のチャンスがあったら、躊躇わず、ぜひ飛び込みましょう。
たとえその時はがっかりしても、後からおいしい味に変わることもあります。
2016・12・13 TUE
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