●真田丸の世界は現代のビジネス科会
「真田丸」がいよいよクライマックスに近づいてきました。
三谷幸喜の脚本は、歴史ものでも限りなく現代社会のカリカチュアになっているので面白い。
戦国武士たちの勇ましく美しい伝説をことごとくひっくり返し、勇将・猛将の類も、野心満々ではあるけれど、やることは騙し合い、ゴマスリ合い、裏切り合いという、ペテン師野郎どもばかり。
そもそも堺雅人演じるヒーロー・真田幸村。
「戦国一の強者」という伝説に彩られた人物なのに、このドラマではずっと親父の陰に隠れていて、どうも目立たないなぁと思っていたら、ここにきて親父の実績を自分の実績だとすり替えて、とんだハッタリ野郎として一躍ヒーローに浮上。
そして徳川VS豊臣の最終決戦は、現在のビジネスの世界になぞらているようです。
戦後の成り上がり大企業・徳川につく武士たちは、忠誠心などないのだけれど、このままうまいこと食い扶持をキープするためには、いやいやでも徳川CEOに媚びていたほうが得策と考える大企業サラリーマン軍団。
かたや、真田幸村はじめ、豊臣につく武士たちは、豊臣ブランドを利用して、食い扶持を分捕って成り上がりたい中小企業・起業家・フリーランス軍団って感じでしょうか。
われらが真田幸村も大ぼら吹いて、みんなの期待の星になったけど、どう実践を追いつかせるのか? どうやってただのハッタリ野郎から、みんなが納得するカリスマにのし上がるのか?
ビジネスしている人たちは、そんな視点でこのドラマを観ると楽しめると思います。
起業家・フリーランスの人たちは幸村たちに自分をなぞらえてみてね。
●最後はどうする?
さすがに三谷さんでも歴史をねつ造するわけにはいかないので、結末として豊臣=真田は負け組になるのはわかっています。
だけど、その負け方・エンディングにどんな意味をつけるかが問題です。
12年前の三谷脚本「新選組!」のラストは、首を斬られる近藤勇の主観で、太陽をバックに振り下ろされる白刃が画面を横切りホワイトアウト。
よけいな余韻を残さない、大河ドラマとしては斬新な終わり方で、なかなかかっこよかったけど、1年間、近藤と新選組の活躍を観てきた視聴者にとっては、ちょっと寂しい幕切れだったと思います。
三谷さんもそのへん意識していそうなので、前回と同じく負け組の真田の最期をどう描くのか?
しかも「新選組!」の時はお茶の間では無名だった堺さんが、今回晴れて主役を張っているわけだしね。
いずれにしても楽しみにしています。
2016・10・27 THU
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