ホントは新商品じゃないけど、新商品に見せる編集・編曲の能力

 

ロッテの仕事

 

 先週、井の頭線の渋谷駅はガーナチョコレートの真っ赤なポスターだらけでした。

 だいぶ昔の話になるけど、僕は7~8年にわたってロッテの仕事――

スーパーやコンビニなどのバイヤーに見せるプロモーションビデオの台本書き

をやっていたので、なんとなく愛着があるのです。

(ロッテの場合、ガムが強いので、ガムは別にやってて、チョコレート類、キャンディ類、ケーキ・ビスケット類が守備範囲でした)

 

●ガーナはスイスの味?ガーナの味?

 

 ロッテの回し者じゃなのだけど、ガーナはおいしい。

 100円(スーパーだともっと安い)であれだけの味を提供するのは、すごいコストパフォーマンスだと思います。

 明治・森永を追いかける後発メーカーなので頑張ったのです。

 明治・森永がハーシーなどのアメリカ産チョコの味を追求したのに対して、ロッテはヨーロッパのチョコの味を追求し、スイスから職人さんを呼んできて研究開発し、あの味を実現しました。

 確か昔は「スイスの味」とか言ってコマーシャルしていた記憶があるけど、それでなんでアフリカのガーナ? 

 原料のカカオの産地だからですが、子供の頃はその矛盾に悩みました。

 

●新商品は売れない

 

 話を戻すと、僕が関わっていた頃は、まだどの菓子メーカーもどんどん新商品を出していました。

 けれどもどんどん淘汰されて、今、生き残っているのは、昔からあるおなじみの品ばかり。

 最近出る新商品というのは、ほとんどが既存ブランドのシリーズものになってしまい、

ガーナブラックだの、ガーナなんとかだの、ガーナだらけになってしまっています。

 

 なんというか、ウルトラマンなんとか、仮面ライダーなんとか、ガンダムなんとかといっしょのような・・・。

 

 市場も少子高齢化の影響で、対象が若い子から、中高年層に移行してきたので、「まいどおなじみの~」という物じゃないと買ってもらえない。

 

 要するに全くのゼロから立ち上げた新商品は売れない時代――特に板チョコの市場はそうなってしまったようです。

 

●従来とは違う意味・違う価値に光を当てる

 

 今、飲料・食品メーカーの仕事をしていて、先日、業界紙を作っている人たちの座談会に参加したんだけど、そこでもやっぱり同じような話が出ていました。

 

 新しいもの、ユニークなものは作っても売れない。

 ただ、毎度おなじみ~だけでは飽きられるので、既存ブランドをいかに時代に合わせてユニークにアレンジできるか、オリジナル作品を生み出す能力よりも、編集・編曲の能力が問われる時代になっているようです。

 

 さらに言っちゃうと、いかにうまくパクるかの能力、あるいは、中身は変えずにラベルだけ変えて新しく見せる能力も重要。

 

 というと聞こえが悪いけど、これも位置づけを変える、従来とは違う意味・違う価値に光を当てて、人々に気づかせるということにつながるのでしょう。

 

 というわけで、ガーナ、まだまだがんばってほしい。

 そろそろチョコレートやココアが恋しくなる季節だなぁ。

 

 

 

2016・9・29