「かえるのつなひき」は沖縄ROCK

 

●沖縄旅行ご招待当選!の思い出

 

 沖縄に行ったことは一度きり。うちの小僧が3つのときだから、早や12年前のことだ。三軒茶屋のキャロットタワーのレストランに行ったら「○万人目のお客様です。おめでとう~!」と頭の上でクス球が割れて、沖縄旅行が当たった。

 

 昔の話なので詳細が思い出せないが、その場で世田谷FMのインタビューを受けて生放送されたことは憶えている。

 おチビをつれた夫婦と言うことで、プレゼントする側としてもちょうどよかったのだろう。 お正月のお年玉つき年賀葉書さえロクに当たったことのない、クジ運の悪い僕にとって、今のところ、人生最大の当たりクジとなっている。 

 

 でまぁ、美しい海沿いの高級リゾートホテルで3日間だか4日間だか過ごしたのだが、街からは遠く離れているわ、プライベートビーチはあるわなので、ホテルの敷地から一歩たりとも出ることはなく、沖縄らしさみたいなものはほとんど味わうことがなかった。・・・・・・

 とは言え、沖縄らしさとは何だ?と聞かれると困るのだが、その答の一つが、この「かえるのつなひき」という昔話である。 

 

●沖縄民話「かえるのつなひき」

 

 夏休み前、1学期最後のランドセルおじさんの朗読「かえるのつなひき」は、琉球の国の土着的パワーにあふれた傑作である。

 

 かえるたちが綱引きを中心としたお祭りを見せて大騒ぎし、田んぼの稲についた悪い虫を追い払うことで、人間を大凶作の危機から救う…というストーリーなのだが。このかえるたち、別に人間を救いたくて救うわけではない。

 人間の食べ物がなくなると今度は自分たちが捕まって食べられてしまうので、かえるとしても必死。命がけのお祭りなのである。 

 

 というわけで、この話には、かえるたちの奮闘を通して、生きるためのエネルギーが、シンプルにむき出しのまま描かれている。

 しかも「かーまむかし」のOpeningから「とう、うっさ」のEndingまで、随所に沖縄ならではの方言も散りばめられ、野太いリズムに溢れていて、読んでて独特のグルーヴ(ノリ)を感じる。

 なんだか若き頃のビートルズやローリングストーンズの演奏を想起させるような、ロックンロールなお話なのだ。2年生の子どもたちのリアクションも笑ったり、息を飲んだり、とてもヴィヴィッドで、ロックのギグをやったような感じだった。 

  

 夏休み突入直前。せっかく沖縄のお話を読んだので、子どもたちに「沖縄に行ったことのある人は?」「この夏休みに行く人は?」」と聞いたら、意外にもかなり大勢の手が上がった。

 

 うーむ、いまの子どもたちにとって、沖縄ってどんなイメージなのだろう。はかの海は本当に、永遠のように青くて美しかったが……。

 

 

 

2011・7・18 MON